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税理士・社会保険労務士
青山税理士事務所
  

ストラテジー(防衛戦略)

「まあ大丈夫だろう」が戦争を招く

 

 平成30年4月のリニューアル前(ver.3)に掲載していたものを修正している。

 日本国民も、一九四五年以来、他国や他民族が戦争の悲劇に見舞われてきたことを目撃してきたはずだ。街が燃やされ、多くの人間が殺され、子供も殺されたのだ。それらすべてのケースがなぜ発生したかと言えば、当事者たちが、「まあ大丈夫だろう」(it will be all right)と思ってしまったからだ。

 人間というのは、平時にあると、その状態がいつまでも続くと勘違いをする。これは無理もないことだが、だからこそ、戦争が発生する。なぜなら、彼らは、降伏もせず、敵を買収もせず、友好国への援助もせず、先制攻撃で敵の攻撃力を奪うこともしなかったからである。つまり、何もしなかったから戦争が起きたのだ。

 
http://bunshun.jp/articles/-/2191?page=4

 真っ先に思ったのは、エドワード・ルトワック氏の次の箴言である。
 北朝鮮の軍事開発力は、極めて危険な域に達しており、真剣に対処する必要がある。日本が取るべき方策は、次の選択肢のどれか一つをとることだ。

 ①北朝鮮に降伏する(これも戦略である)
 ②北朝鮮を攻撃する
 ③抑止力(核弾頭・deterrence)を持つ
 ④防衛(ミサイル防衛・defense)する
 戦略において、正しい選択をおこなうのは、実は難しい。しかし、最悪の選択とは、「まあ大丈夫だろう」と考え、何の選択も行わないことなのである。

 日本は戦後70年以上の間、何の選択も行わないことを繰り返し、これからも繰り返そうとしている。江藤淳が「閉された言語空間」等の占領三部作で看破しているとおり、私たちの言語空間は特定の姿しか見えない鏡張りの部屋のようになっている。
 その閉ざれた空間をしたり顔で闊歩し、最悪の選択に誘導しているのが朝日新聞等の、反権力を標榜するオールド・メディアであろう。
 そして、亡国の水先人になろうとしている。

 周恩来・キッシンジャー機密会談 の「瓶の蓋論」で明らかなように、国務省、ペンタゴン及びCIAの「日本に核は絶対持たせない」という方針の下で、属国(client state)の居心地良さを受け入れてきた歴代の自民党政権も、国民も、「まあ大丈夫だろう」と、将来の危機に備えることなく、見て見ないふりをしてきた。
 そして、このことに真面に向き合った中川昭一氏は排除されてしまった。

 こうして、私たちは「軍事力」という、国家の存立に欠かせない必須の前提に触れないようにしてきた。とはいえ、北朝鮮危機とチャイナの台頭は、バランス・オブ・パワー(勢力均衡)の変化を余儀なくされ、我国の安全保障の根幹が揺らいできているのである。

 2014年ベトナム沖で海底油田を巡り、チャイナは40隻の船でベトナムを威圧した。ところがベトナムは、陸でチャイナの旅行者や商店に対して暴動や焼き討ちを敢行した。ベトナムにいるチャイニーズを見境なく攻撃し、「これは、子どもの遊びではない戦争だ。いざとなれば雲南省に攻め込むぞ」、という意志を見せつけたのである。
 このため、チャイナはベトナム沖から撤退しなけばならなくなった。これが「防衛戦略」である。

 私たちは、北朝鮮に核攻撃を威嚇されても、尖閣にチャイナの民兵を上陸されても、①降伏することもなく、②攻撃するでもなく、③抑止力はなく、④満足な防衛能力もなく、高邁な平和主義者に手足を縛られ、二進も三進もいかないのである。ベトナムにいるチャイニーズを見境なく攻撃したベトナムに遥かに及ばない。
 肝心なことは、平和主義者には画策を意図する者も、フェロー・トラベラー(同調者)も、オポチュニスト(御都合主義者)も、デュープス(騙されやすい人達)もいるのである。

 ※E・ルトワック氏は、逆説的論理(パラドシキカル・ロジック)という概念の提唱によって、近代西洋の戦略論に革命を起こした一人とされている。
 あらゆる戦略的行動にはパラドシキカル・ロジックが働いており、たとえば戦争のような状況になると、こちらがAという行動を行えばBという、いわばだれでも想定できるような「線的(リニア)」な結果は殆ど発生しない。Bという反作用が、作用と同じくらい、時にはそれ以上のインパクトを持つという意味である。


  参考書籍
 〔1〕エドワード・ルトワック※著「戦争にチャンスを与えよ」奥山真司訳 ㈱文藝春秋 2017.4.20
 〔2〕エドワード・ルトワック著「中国4.0」奥山真司訳 ㈱文藝春秋 2017.4.20



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