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周恩来・キッシンジャー機密会談

起点となった1971年

 1949年中国共産党が内戦を制し、国民党は台湾に逃れて中華人民共和国(以下チャイナ)が建国され、1971年に国連(連合国、United Nations)に加盟する。

 ふり返ってみれば、1971年を起点に、世界の歴史は大きく動いている。チャイナが国連に加盟した3か月前の7月9日、ヘンリー・A・キッシンジャー国家安全保障問題担当大統領特別補佐官は、北京で周恩来国務院総理と極秘会談をした。

 同年10月にもキッシンジャー博士は再度チャイナを訪れ、周恩来と10回にも及ぶ会談をしている。ちょうどその時に、チャイナは中華民国(台湾)に代わり国連に加盟し、同時に常任理事国になった。

 1971年の周恩来・キッシンジャー機密会談によって、米中の蜜月時代が始まり、チャイナの驚異的な経済成長の基礎が築かれる。やがて、日本はその煽りを食い停滞していく。その分水嶺は、チャイナにひれ伏し、富を築くビル・クリントン大統領が登場したころであろう。

 尚、アメリカとチャイナの蜜月ぶりについては、マイケル・ピルズベリー氏が「China 2049」を、ピーター・ナヴァロ現国家通商会議議長が「米中もし戦わば」(原題 クラウチング タイガー)を上梓し、チャイナの恐るべき戦略を開陳し警鐘を鳴らしているところである。

 1972年5月15日には沖縄が返還され、9月25日に田中総理がチャイナを訪れ、周恩来総理と会談し、9月29日の共同声明によって日中国交正常化が表明された。
 とはいえ、台湾については、「チャイナの立場を十分に理解し尊重する」と表明したものの、現在まで日本の立場は明確にしていない。後顧の憂いがなくなり、1973年にはニクソン大統領がベトナムからの撤退を決断している。

 沖縄返還ムードの裏側で1971年8月から、本田勝一氏によるルポルタージュ「中国の旅(取材にはチャイナのサポートがあったいわれている)」が朝日新聞に連載され、日本軍の残虐・非人道をことさら脚色し、今に至る反日攻勢がスタートする。いわゆる「軍国主義反対」というムードの醸成である。

 そして、1982年9月2日(朝日新聞大阪版)に、「朝鮮の女性 私も連行 元動員指揮者が証言 暴行加え無理やり 37年ぶり危機感で沈黙破る」と報道し、いわゆる「慰安婦問題」を世界に拡散し、日本軍を貶めていった。

 またチャイナも、1989年の天安門における自国民虐殺を糊塗するため、日本軍の残虐非道を喧伝する。1997年には、チャイナ系アメリカ人のアイリス・チャンを使い、「ザ・レイプ・オブ南京」を大々的に世界に宣伝した。

 平和ボケに去勢することで、国益を収奪され、同胞が拉致されてもなにもできない「瓶の蓋」という重層的な仕組みが出来上がったのである。

 以下、1971年10月22日 第四回周恩来・キッシンジャー会談より一部抜粋する。
 尚1971年は、以後1995年まで日本がアメリカに追随するように経済成長していく過渡期だった。日本を瓶の中に閉じ込める「瓶の蓋論」といわれているものである。

 キッシンジャー博士
 
・・・私はこのような観点から、日本の中立化を望むという総理の発言についてコメントしたいと思います。世界第三位の工業国と一億二千万の人々にどのような中立があり得るのか、これを考えるのは困難です。歴史的には二種類の中立しかありません。
 すなわち、ベルギーのように他国に保証された中立と、スイスやスウェーデンのように自ら中立を宣言して、自力で防衛する国です。自力で防衛する国は、つねに巨大な軍事力を有します。

 スイスやスウェーデンは国家的規模からすると、ほかのヨーロッパ諸国に比べて大きな軍事力を保有しています。自力で自らを防衛する日本は、周辺にとって客観的に危険な存在となるでしょう。より強力なるでしょうから。

 それゆえ私は、現在の日本の対米関係が、実際には日本を抑制しているのだと信じています。もし我々が皮肉な政策をとろうとすれば、我々は日本を解放し、自らの足で立つよう促すでしょう。これは日本と中国の間に強い緊張を引き起こすでしょうから、我々がその間に入ることになります。それはとても近視眼的です。あなた方も我々も、双方が犠牲者となるでしょう。

 ですから、我々が日本について相互に理解し、双方が日本について抑制を示すことが重要なのです。・・・


 周恩来総理
 
あなた方は、アメリカが日本の自衛力を制限することができるとお考えでしょうか?

 キッシンジャー博士
 
総理、私は不確かなことについてはお話ししたくありません。総理がいわれたような傾向は日本に存在します。私は現状の対日関係ほうが、日本の自衛隊を制限するのに有効だと思います。

 日本はだまされてきたのだと言われれば、日本ではナショナリズムが高まることになるでしょう。アメリカは第二次世界大戦で、日本がアジアを制圧するのを阻止するために戦ったのです。そのアメリカが二十五年後に、日本にアジアを制圧するよう促すのでは、訳が分からなくなります。

 政府としてはこの問題を検討していないので、これは私の個人的な考えなのですが、総理が言われたように、もし日本が大規模な再軍備に乗り出すのであれば、中国とアメリカとの伝統的な関係が復活するでしょうし、我々はその際の状況を非常に真剣に討議することになるでしょう。

 ですから、要するに我々は、日本の軍備を日本の主要四島防衛の範囲に押しとどめることに最善を尽くすつもりです。しかし、もしそれに失敗すれば、ほかの国とともに日本の力の膨張を阻止するでしょう。

 〔1〕197~199頁より一部抜粋


 参考書籍
 〔1〕周恩来キッシンジャー機密会談録 毛利和子 増田弘監訳 ㈱岩波書店
    2004.2.24



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