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税理士・社会保険労務士
青山税理士事務所
  

裏切られた自由

 事は言なり

 歴史はイデオロギーではない。歴史を体験するには出来事の中に入らないといけない。外から見える出来事は、すべて自然に属する「物」なのでそこに歴史はない。荻生徂徠は「学問は歴史に極まり候事に候」といい、本居宣長は、「事(こと)は言(こと)なり」といった。「事」の中に入って、「事」をどういうふうに人間が経験して、どのように解釈したかという「言」を学ぶのが学問であり、それが歴史なのだ。
 「事」は「言」なり(歴史について)

 「裏切られた自由」(末尾参考書籍等)
 ハーバート・フーバー(1929~1933年アメリカ大統領、以下フーバー)
 1914までロンドンを拠点にして鉱山技師として働いていた。第一次世界大戦期には、ドイツの占領下にあったベルギーの食糧支援にも携わっている。

 「裏切られた自由」は、フーバー財団の出版プロジェクトの支援によって出版された。フーバー研究所には、フーバー元大統領の個人的なメモ等の膨大な資料が残されている。

 フーバーは書き上げた原稿に、「裏切られた自由」の表題をつけていた。若干の修正作業を残して、この大事業がほぼ終了したのは1963年9月だった。しかし、フーバーの命は翌年に尽きた。
 その後、フーバーの相続人はこの「フーバーの大事業」を公開することなく、原稿はひっそりと保管されることになった。

 1930年後のアメリカは、ニューディール政策によってリベラリズムが変質していった。
 集産主義的になり、強制と政治権力の集中が促進されていった。ニューディール型リベラリズムの台頭である。

 この流れに乗ったのが、フランクリン・デラノ・ルーズベルト(以下FDR)だ。フーバーは、FDRを制御すべきと考え、欧州のパワーポリテクスへの非介入、議会の承認なき経済制裁に反対した。

 当時の集産主義的な潮流は世界的であり、フーバーは反対の立場だったが、FDRはこの流れに乗って三選された。FDRは大言壮語、誇張による宣伝戦がうまかった。

 1940年は、ポーランド、ノルウェー、デンマーク、ベルギー、オランダ、ルクセンブルク、ユーゴスラビア及びギリシャ、そしてフランスの殆どがナチスドイツの支配下に入った。バトル・オブ・ブリテンも激しさを増したが、イギリスはドーバー海峡によってなんとかドイツの攻撃に耐えたという状況だった。

 因みに、当時のパワーポリティクスを等閑して戦前の日本を考えてはいけない。フーバーも正に針の筵に座っている状況であった。

 1940年11月、FDRのボストン演説
 ここには父であり母である者がたくさん私の話を聞きに来てくれている。もう一度はっきり言います。これまでにも何度も言ってきたことですが、ここであらためて繰り返します。あなた方の息子さんが外国の戦争に遣られることは決してありません。

 この状況下において、1941年1月FDR政権は武器貸与法を議会に諮った。この法律は英国及びその同盟国に対して途方もない額の武器支援を可能にするものだった。3月31日成立した同法では、大統領は自らの判断で13億ドルを上限に外国政府を支援できることになった。上記のボストン演説の4か月後である。

 ルーズベルト政権の(干渉主義的)外交政策、野放図に繰り広げられるイギリスのプロパガンダ、(親英的)ニューヨーク知識人の言論、(これから出てくるだろう)アメリカ人犠牲者、ヒトラーによる蛮行。こうしたことが重なって、我が国の好戦気分が高揚するだろう。これを制御できなくなるかもしれない。これがフーバーの見通しだった。

 9月になると、フーバーは、FDRとその取り巻き連中は、日本を利用して裏口から(対独)戦争に参入しようと、あらゆる策を労していると確信した(日本はドイツ、イタリア両国と同盟関係にあった)。フーバーは、日本の合理的な行動は、ロシアの分裂を見越しての東シベリア攻略だろうと読んでいた。そうなればアメリカにも都合がよいと考えていた。しかし、我が国がソビエトと事実上の同盟関係に入ったことから、日本はそのオプションをとれなくなった。

 秋になると、フーバーは、気が滅入ってきた。FDRが、日に日に狡猾な手法で、日本を利用して参戦しようとしていることが明白になっていたからである。十一月一日、もはや戦いは避けられない。太平洋方面で数日のうちに勃発する可能性がある、と友人に不安を打ち明けた。


 参考書籍等
 「裏切れた自由」上
 ハーバート・フーバー著 ジョージ・H・ナッシュ編 渡辺惣樹訳
 2017年7月19日発行
 「裏切れた自由」下 著者訳者等同
 2017年11月15日発行


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