本文へスキップ
中小企業の皆様と共に歩みます      

TEL. 089-933-3140

〒790-0038 松山市和泉北4-1-22

税理士・社会保険労務士
青山税理士事務所
  

ヴェノナ文書

インテリジェンスについて

 平成30年4月のリニューアル前(ver.3)に掲載していたものを修正している。

 アメリカでは、1939年の第二次世界大戦開始以来ソ連の暗号文を集積していた。ワン・タイムパッド(一回限りの乱数表に基づくキー)を利用しているため、理論上は解読不可能だった。ところが、ソ連による僅かな手続上のミスから一部が解読されて、アメリカによる「ヴェノナ作戦(ソ連の暗号解読計画)」が始り、1948年にはイギリスのも参画して遂行された。

 解読されたヴェノナ文書によって、ソ連は第二次世界大戦中に、外交、軍事及び技術等に関するアメリカの機密を未曽有の規模で盗み出していたことが発覚した。また、驚くほど多くのアメリカ政府高官がソ連と繋がっていたことが明らかになった。ソ連はこれら高官から原爆に関する機密情報を入手して、自前で開発するよりも3年から5年早く原爆を製造し1949年には核実験を成功させたのである。

 ヴェノナ文書は日本との関わりは少ないけれど、ソ連と繋がっていたアメリカ政府高官のなかにハリー・デクスター・ホワイト※がいる。ホワイトは、日本に最後通牒を突きつけた「ハル・ノート(ホワイトによって過激な内容に変えられたもの)」の作成者である。

 ホワイトは、エリザベス・ベントリー(KGB連絡要員)傘下のシルバーマスター・グル-プに属していた。スターリンがアメリカに持っていた情報源のなかで、ホワイトほどの高官いなかった。
 1944年から1945年まで、ホワイト関連のKGB電文は15を数え、米国政府の議論の内容をソ連に流していたこと等が記されている。また、ホワイトが共産勢力のために、アメリカの政策を操った次のような事例もあった。

 1942年、アメリカ議会はシナ国民党に5億ドルの金借款提供を承認した。国民党は、翌年も2億ドルの金借款の提供を求めた。戦時下のシナでは、通貨インフレが急速に進み経済にダメージを与えていた。国民党は、アメリカからの借款によりインフレを抑えようとしたのである。
 ルーズベルト大統領(以下FDR)も金借款の提供を認めたが、ホワイトは恣意的に提供を遅らせた。1945年末に国民党と共産党の内戦が再開したとき、国民党政府はすでに厳しい状況に追い込まれていた。ホワイトの画策は、シナ大陸の共産党政権誕生を助勢したのである。

 「尾崎・ゾルゲ事件」という空前のスパイ事件について 
 尾崎は朝日新聞退社後、シナ問題の専門家として名を馳せた。朝日新聞で尾崎の同期だった田中慎次郎氏と朝日の磯野清氏が尾崎に情報を流したことで逮捕されている。
 直接の容疑は山東省台児荘付近の戦闘において、日本軍の二師団の内二支隊が大敗北を喫する原因となった作戦計画の露顕だが、この計画を尾崎に伝えたことによる。

 しかし、まもなく釈放され、田中慎次郎氏は1959年に朝日新聞社取締役出版局長に就任する。チャイナ派の広岡知男氏や、ソ連派の秦正流氏等のように、朝日の戦後体制の形成に貢献した。

 尾崎は近衛文麿を操り、大東亜共栄圏構想に便乗して世論を動かし、日本を伝統的な対ソ戦重視から、南進(仏印進駐)、シナ事変完遂(シナ事変長期化)へと転換させた。
 尾崎の主張に呼応する当時の朝日新聞の紙面には、「暴(シナ)膺懲(ようちょう)」、「鬼畜米英撃滅」等の過激な見出しが躍っていた。

   ソ連を救った尾崎の一報
 「日本はソ連を攻撃しない。南方のインドシナで作戦を開始する」

 スターリンは、ドイツと日本との二面戦争をどうしても避けたかった。尾崎の貴重な一報によって、スターリンは極東の兵力を西に移動させ独ソ戦に勝利した。(実際は、尾崎以外のルートでも伝えられていたようだ)

 1964年、尾崎を操って南進の情報をソ連に伝えたリヒャルト・ゾルゲに、ソ連は「ソ連邦英雄勲章」を授与した。多磨霊園のゾルゲの墓には、ソ連崩壊後も新任のロシア大使が墓参しているという。

 ※参考
 ハリー・デクスター・ホワイトとブレトン・ウッズ体制
 1944年7月、アメリカ合衆国のブレトン・ウッズで開かれた連合国通貨金融会議(45ヵ国参加)において、戦後の国際金融制度が議論された。ジョン・メイナード・ケインズ案とホワイト案が提起されたが、ホワイト案の「ドルを基軸とした固定為替相場制」が採用された。これをブレトン・ウッズ体制といい、協定締結国は①為替の安定と②金融の自律性を保持し、③資本の移動を制限した(世界金融のトリレンマといい、①為替の安定、②金融の自律性、③自由な資本移動のうち二つしか選択できない)。ブレトン・ウッズ体制は1971年のニクソンショックまで続いた。資本の移動を制限したので、戦後の資本主義が最も健全に発展した期間であった。
 このホワイトがソ連のスパイだったのである。

 参考書籍
 〔1〕「ヴェノナ」ジョン・アール・ヘインズ&ハーヴェイ・クレア著
  山添博史・佐々木太郎・金自成訳 中西輝政監訳 PHP研究所 2010.2.12
 
 



ナビゲーション