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税理士・社会保険労務士
青山税理士事務所
  

プロパガンダ

衆愚政治のための水先案内人

 今一度、再確認しておきたいこと。

 
世の中の一般大衆(マス)が、どうのような習慣を持ち、どのような意見を持つべきかといった事柄を、相手にそれと意識されずに知性的にコントロールすることーーーは、民主主義を前提とする社会において非常に重要である。この仕組みを大衆の目に見えない形でコントロールすることができる人々こそが、現代のアメリカで「目に見えない統治機構」を構成し、アメリカの真の支配者として君臨している。
〔1〕

 エドワード・バーネイズは1928年に上梓した「Propaganda」において、20世紀以降登場した「大衆」を誘導する「姿の見えない統治者」がアメリカの真の支配者であるといった。尚、バーネイズはパブリック・リレーションズ(Public Relaituons:PR)も、プロパガンダと同じ意味でつかったが、現在では周知のとおり区別されている。

 英語では、ディスインフォメーション(disinfomation) やサイコロジカル・ウォーフェアー(psychological warfare)ともいわれ、ターゲットに対する心理戦を意味する。
 やがて、実戦的な戦争宣伝として多様なプロパガンダの手法が生まれていった。

 ①中傷 ひたすら相手を攻撃することで、相手が劣等で信頼できない存在であるかのように見せる。
 ②絢爛たる一般性
 魅力的だが、曖昧な言葉で演説や主張を正当化する。
 ③転移
 すでに高い信用と信頼性がある人物や集団に結びつける。
 ④一般人
 服装、話し方、及び行動等を工夫して一般庶民に見えるように演出する。
 ⑤バンドワゴン
 他者はもう自分たちの仲間になっている。あなたもそうすればいい。
 ⑥カード・スタッキング
 トランプのイカサマの意味であり、自らに都合のいいことをことさら強調し、都合の悪いことを隠す。
 ⑦人格攻撃
 信用失墜(discredit)、中傷(defamation)、 悪魔化(demonise)及び非人間性の強調(dehumanize)のいわゆる4D。

 ディベートで最も嫌われている「ストローマン論法」も加えていいだろう。ストローマン(藁人形)は容易く倒せることからきているようで、相手の発言を自分の都合のいいように曲解・歪曲して攻撃する方法で、カード・スタッキングと共にオールドメディアが常用している。

 ①~⑦の具体例を挙げれば次のようになる。

 ①中傷 野党が常用する一方的な「中傷」
 ②絢爛たる一般性 小池知事が駆使した「安全と安心」の混同による印象操作
 ③転移 「国連」の権威を利用する正当化の手法
 ④一般人 平和憲法を固持する善良な国民というまやかし
 ⑤バンドワゴン バスに乗り遅れるな
 ⑥カード・スタッキング 加戸前愛媛県知事の加計問題の証人発言をスルー
 ⑦人格攻撃 オールドメディアが繰り返す倒閣運動

 というように、多様な進行中の実例を目撃することができる。外にも「不安」、「ユーモア」、「デマ情報」、「シンボル」及び「反復」等と多様である。
 もともとは宗教用語だったが、1914年の第一次大戦以後、戦時宣伝として活用され、現在に至っている。

 ここで、偉大なるプロパガンダの一つ、「コモン・センス」について簡単に触れておこう。
 アメリカの独立戦争は1775年4月のボストン郊外のレキシントンの武力衝突によって始まったのではない。むしろ、独立を積極的に主張するアメリカ人は少数であった。イギリスの譲歩により和解できれば充分という意見もあったのだ。

 ところが、トマス・ペインは「コモン・センス」で、イギリスの圧政の糾弾と独立を断固として主張した。無学な大衆に、わかり易く政治理念を説いて、自由で豊かなアメリカの幻影をちらつかせて、大衆の目を眩ませたのである。

 同書は刊行から三カ月で12万部、一年で50万部売れたともいわれ、海賊版も出まわり、独立戦争の気分を盛り上げた。植民地のアメリカ人の人口が250万人であったことからして、影響の大きさは容易に想像できるだろう。「コモン・センス」がアメリカ独立の起爆剤となったのである。

 受け身である限り、世論はコントロールされる。現在オールドメディアが繰り返している偏向報道、フェイクニュース及び事実の隠蔽等は、政権の是非を問うという健全な過程を拒絶し、情報弱者をターゲットにした混乱と弱体化を目途とするプロパガンダである。


 参考書籍
 〔1〕 エドワード・バーネイズ著/中田安彦訳「プロパガンダ」㈱成甲書房 
    2010.10.15
 〔2〕 トマス・ペイン著/佐藤健志訳「コモン・センス」㈱PHP研究所 2014.8.7



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