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税理士・社会保険労務士
青山税理士事務所
  

「存在意義の喪失」との戦い

人間性の回復というメルクマール

 私はtwitterをメモとして利用している。タイムラインには、フォローしているアカウントのツイートが一連の流れで表示される。今、何が起きて、どうなっているのかを判断するのに非常に便利だ。
 とはいえ、多様化の弊害として「奇妙な情報」が紛れ込むようになった。目新しいことに流されるのではなく、「はてな?」という「リテラシー」が不可欠である。激変した現代を、冷静に見つめる「もう一つの視点」が必要なのだ。

 オデット・ガローがいうように、紀元前1世紀のイエス・キリストの時代にエルサレムに住んでいた人間が、タイムマシーンで1801年のオスマン帝国の支配下にあったエルサレムに訪れたとしよう。おそらく彼は、19世紀のエルサレムの生活に順応できるだろう。
 しかし、彼が21世紀のエルサレムに訪れればどうだろう。彼の持っている技術や知識は全く役に立たい。長らく停滞状態にあった人類の生活水準は、この200年で劇的に変容したのである。この200年をどう考えるかで、私たちの価値感が異なってくる。

 現代は、17世紀のイギリスの哲学者トマス・ホッブスのいう「人の一生とは不快で野蛮で、しかも短い」といった時代ではない。19世紀以降、人類の平均寿命は2倍になり、一人当たりの所得は世界全体で14倍になった。そして、著しい格差が生まれたのである。

 テクノロジーの進歩はさらなる経済発展を生んだが、日本のように均質性の高い国は多様性が疎外され技術革新が妨げられてきた。しかし、多様性の高いヨーロッパ、北アメリカでは技術革新が促進され経済的優位性を持つようになった。

 均質性の高い日本は、改善・改良によって経済成長を維持してきたが、現代のように高度な技術環境では多様性が求められる。これが、日本が低迷している原因でもある。

 また、日本の成長を拘束しているのが原子力アレルギーである。今世界では、小型モジュール式原子炉(Small Modular Reactor、SMR)の開発が著しく進んでいる。SMRは自然循環式原子炉で、原子炉に液体を通過させるのに原子炉冷却ポンプを一つも必要としないのである。

 21世紀のITとバイオテクノロジーは、蒸気機関や鉄道や電気が及ぼした影響を凌駕している。イデオロギーで原発反対などと言っている次元ではないのだ。テクノロジーを拒否すればスタートラインにすら立てない。モデルに欠陥があれば核戦争が起き、遺伝子工学で怪物が生まれたり、生物圏が完全に崩壊する結果になりかねない時代である。

 最善の努力をしたにも関らず、無くなる仕事の方が創出される仕事よりずっと多くなったら何をすべきか。私たちは、前例のない21世紀の技術的破壊や経済的混乱に対処するために、新しい社会モデルと経済モデルを早急に開発する必要がある。それは、人間を守るという原理に導かれたものであるべきだろう。


 参考書籍等 
 〔1〕『「常識」が通じない世界で日本人はどう生きるか』ジョージ・ソロス、ユヴァル・ノア・ハラリ外3名 ㈱宝島社 2022.12.23発行
 〔2〕「21 Lessons」 21世紀の人類のための21の思考 ユヴァル・ノア・ハラリ著 ㈱河出書房新社 2019.11.30発行







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