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ロシアは悪い国か-2

文明の衝突

 具体的には、ロシア国債のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の信用リスクを注視する必要があるが、以下では、ハンチントンの「文明の衝突」を念頭に置いている。

 ウクライナは1991年にソ連から独立した。国土面積は日本の約1.6倍、東部や南部はロシア語を話す人が多い。ソ連崩壊後、親欧派と親露派の対立が激化し、2014年2月のヤヌコビッチ大統領のロシア亡命以降、ロシアのクリミア半島編入や、その後ロシアの介入により内戦状態が続いた。2015年2月の停戦合意以降も、一部地域で衝突が起きている。


 ネオコンのレジーム転覆の手段である民主化デモには、反民主的なネオナチと称される極右武装勢力が含まれていました。この武装勢力が途中から主導権を握り、反政府デモは暴力による政府転覆活動に転嫁してしまったのです。
 デモ隊の穏健勢力側とヤヌコビッチ政権側との間で大統領選挙の前倒し実施で一旦妥協が成立していましたが、極右勢力はこの合意を破棄してデモが流血の事態に泥沼化しました。ここで、ネオナチ勢力(背後のネオコン)の使った戦法が、いわゆる「偽旗作戦」です。

 〔1〕

 「偽旗作戦・false flag operation」とは、敵方の旗を掲げて戦うことである。例えば、2021.1.6のトランプ支持者とされるデモ隊による連邦議会議事堂乱入事件のように、トランプ側が指嗾したように偽ることだ。これが判別できなければ、私たちは「烏合の衆」になってしまう。
 
彼らは、警察官にレンガを投げることもしなければ、警察に放火もせず、その多くが無自覚に建物に侵入しただけだ。
 〔6〕
 ウクライナ紛争についても、メインストリームメディアに翻弄されることのないようにしたいものだ。私は馬淵睦夫氏(前ウクライナ大使)の三冊の書籍を参考に、何とか、実態を把握しているつもりだ。

 そんな最中、ワシントンから伊藤貫氏の「三十年間、ロシアを弄んだアメリカ」がクライテリオンに掲載された。

 以下、「三十年間、ロシアを弄んできたアメリカ」━表現者クライテリオン7━伊藤貫から、ほんの一部を紹介する。是非、全文を読んで欲しい。

 
最近三十年間の米露関係悪化の最も重要な原因は、①米政府が「我々はNATOを拡大しない」、「我々はロシア封じ込め政策をしない」という約束を破棄したこと。②米政府と米金融業者が、「ロシアの経済改革に協力したい」という美名の下に実行した、ロシア資源の巨大な窃盗行為。アメリカのこれらの二つの行為は、ソ連崩壊によって窮乏化していたロシア国民に対するショッキングな裏切りであった。
 〔2〕


 アメリカでもアメリカ政府による裏切りを正面から批判したのは、下記に代表される少数の知識人だけであったという。
 ミアシャイマー,ジョン・J
 ポール・コーエン
 ジョージ・フロスト・ケナン
 サミュエル・フィリップス・ハンティントン
 ケネス・ニール・ウォルツ

 「三十年間、ロシアを弄んできたアメリカ」
 ▼概要始まり
 レーガン政権・ブッシュ(父)政権で、駐露大使を務めたジャック・マトロック氏は、引退後の書籍『Superpower Illusions』で、クリントン政権は、「
ロシアのことをまるで日本のような敗戦国として扱い始めた」といっている。クリントン政権は、一方的にNATO拡大方針を決定した。そして、次のブッシュ(父)政権は国際法を無視して、イラク戦争を決行しNATOを大規模に拡大した。

 「経済自由化」というロシア国民資産の大窃盗
 クリントン政権のルービン財務長官(投資銀行ゴールドマン・サックスの前会長)とサマーズ財務副長官(ハーバード大・経済学教授)は、この「急速な民営化」を米政府のロシア政策の最優先課題とした。

 このように、米露イスラエル三国の金融業者がロシアで「濡れ手に粟」の荒稼ぎをした7年間、クリントン政権は巨大な犯罪行為を容認し続けた。
 そして、ロシアの国富を窃盗した犯罪者たちは、2000億ドルから5000億ドルの利益を国外に持ち出した。
 〔2〕
 ▲概要終わり

 伊藤貫氏の論考を読めば、なぜ、プーチン大統領が登場したかがわかるだろう。尚、現バイデン政権の国務次官ビクトリア・ヌーランドはワシントンで有名なネオコンの猛女であり、彼女の夫は、ロバート・ケーガン(ネオコンの理論家)である。

 今回の米露戦争の長期化・泥沼化によって、最後に笑うのチャイナである。そして、アメリカの弱体化により強烈なダメージを被るのは日本なのだ。

 ケネス・ウォルツがいうように、国際システムの場合は国内政治のような意味での政府は存在しない。国家は、最低限生き残ることを確実にするという自助を基本的な行動原理とする。とはいえ、全ての国の能力の配置に関らず、大国の配置によって国際政治は動く。

 アクター(行為主体)の能力は国家の属性とされるけれど、国際政治は能力の分布という構造の要素を併せ持つということだ。このような国際関係の中で成立した理論が「勢力均衡理論(バランス・オブ・パワー)」である。
 日本の左翼が唱える「一国平和主義」などは、おとぎ話以外の何物でもない。

 国際政治の古典「危機の二十年」でも、E・H・カーは戦間期(第一次世界大戦から第二次世界大戦まで)の国際政治を、理想主義(カーはユートピアニズムといった)と現実主義の相克と確執の結果だったといっている。カーが理想主義を、「ユートピアニズム」といったことを注視しよう。

 以下は、伊藤貫氏が指摘している「アメリカの裏切り」を批判した少数の碩学である。是非、記憶しておこう。

 ミアシャイマー,ジョン・J
 
シカゴ大学のウェンデル・ハリソン特別記念教授。専門は国際関係論で特に安全保障分野。『大国政治の悲劇―米中は必ず衝突する!』で「オフェンシヴ・リアリズム」という国際関係論の理論を提唱し、その内容の高さが認められて「ジョセフ・レプゴルド学術賞」を受賞。
 https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784772704564

 ポール・コーエン(Paul A. Cohen、1934年 - )
 アメリカ合衆国の歴史学者。

 ジョージ・フロスト・ケナン(英: George Frost Kennan、1904年2月16日 - 2005年3月17日)
 アメリカ合衆国の外交官、政治学者、歴史家。現実主義者の知識人といわれる。

 サミュエル・フィリップス・ハンティントン(Samuel Phillips Huntington、1927年4月18日 - 2008年12月24日)
 アメリカ合衆国の国際政治学者。ハーバード大学教授、アメリカ民主党右派(中道派)支持者。その著書「文明の衝突」は、多くの議論を喚起した。

 ハンチントンは1998.5月、「文明の衝突の日本版への序文」でつぎのように述べている。
 
文明の衝突というテーゼは、日本にとって需要な二つの意味がある。

 第一に、それが日本は独自の文明をもつかどうかという疑問をかきたてることである。オズワルド・シュペングラーを含む少数の文明史家が主張するところによれば、日本は独自の文明をもつようになったのは紀元五世紀ごろだという。私がその立場をとるのは、日本の文明が基本的な側面で中国の文明と異なるからである。

 それに加えて、日本が明らかに前世紀に近代化をとげた一方で、日本の文明と文化は西欧のそれと異なったままである。日本は近代化されたが、西欧にならなかった。

 第二に、世界のすべての主要な文明には、二カ国ないしそれ以上の国々が含まれている。日本がユニークなのは、日本国と日本文明が合致しているからである。
 そのことによって日本は孤立しており、世界のいかなる他国とも文化的み密接なつながりをもたない。
 略
 しかし、それと同時に、日本は自国の利益のみを顧慮して行動することもでき、国際的な存在になって以来、日本は世界の問題に支配的な力を持つと思われる国と手を結ぶのが自国の利益にかなうと考えてきた。
 〔5〕
 ハンチントンの指摘は示唆に富んだものだった。

 ケネス・ニール・ウォルツ(Kenneth Neal Waltz、1924年6月8日 - 2013年5月13日)
 アメリカ合衆国の国際政治学者、カリフォルニア大学バークレー校名誉教授。ウォルツは戦争に関する三つのイメージを唱える。
 第一のイメージ 人間の本姓と行動が戦争を生む。
 第二のイメージ 国内の条件によって対外行動が決まるため、国家の変革によって戦争は減らせるし根絶できる。
 第三のイメージ 構造的リアリズム、ネオリアリズム(国際政治の構造が国家に対し、どのような制約要因になるかを明らかにする)


 参考書籍等
 〔1〕ディープステート 馬淵睦夫著
    2021.8.2発行 ワック株式会社
 〔2〕三十年間、ロシアを弄んできたアメリカ
    伊藤貫(ワシントン在住)著
    表現者クライテリオン7 2022年7月1日発行(隔月刊)
 〔3〕世界を操る支配者の正体 馬淵睦夫著
    2014.12.18発行 株式会社講談社
 〔4〕国難の正体 馬淵睦夫著
    2022.7.1発行 株式会社ビジネス社
 〔5〕文明の衝突 サミュエル・ハンチントン著 鈴木主税訳
    1998.7.28発行 株式会社集英社
 〔6〕アメリカの崩壊 山中泉著
    2022.3.31発行 ㈱方丈社


  

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