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税理士・社会保険労務士
青山税理士事務所
  

アメリカはいかにして日本を追い詰めたのか

歴史を学び、情報戦に備えよう

 新たな事実によって歴史的な再解釈を加えることを歴史修正主義というが、価値判断が逆転することからして、往々にして否定的に捉えられることが多い。嚆矢となったのは、米国政治学会会長、米国歴史協会会長を歴任したチャールズ・A・ビーアド博士の「アメリカ批判」がまさにそうだった。

 自虐史観が席巻する日本では、「歴史修正主義」はことさら忌避され体系的な思考が否定される。エドワード・バーネイズが喝破した「プロパガンダ」が奏功して、奇妙な「平和主義」が蔓延している。

 トゥキディデスは、古代アテネが国家防衛のモチベーションにしたのは「恐怖、誇り、国益」の三つだといったが、現代の国際政治では「軍事力、国益」の二つである。戦後の日本では「軍事力」すら忌避されるが、戦前の日本では「軍事力、国益」に「誇り」が加わる。それが、私たちの国の歴史なのだ。

 ジェフリー・レコードは、次のように言っている。
 
1941年に日本がアメリカとの戦いを決意した動機は、一つには日本の誇りの問題であり、もう一つは、アメリカによってもたらされた経済の破綻であった。

 また、バジル・ヘンリー・リデル=ハート卿は次のように回顧する。
 
どのような国であれ、ああいった屈辱的な条件を呑み、国家として面子を潰される事態(utter loss of face)を甘んじて受け入れることはない。日本という国家なら、なおさらである。

 私は日本を正当化するつもりもないし、軍国主義悪玉論のような稚拙な批判をするものでもない。平和な時代に生まれた世代として、一方的に先人を貶める愚行をしたくないだけだ。

 1929年の世界恐慌を語らずして、戦前の歴史は考えられない。世界恐慌により、イギリス、フランス等はブロック経済(植民地の囲い込みによる自給自足経済、アウタルキーという)になり、アメリカは自国本位のニューディール政策をとった。世界経済が寸断されたのである。

 この結果、イタリアではムッソリーニの独裁政治になり、ドイツはヒトラーの国家社会主義ドイツ労働者党が台頭した。そして、玉突きのように、1931.9.18に満州事変が勃発する。

 帝国主義の流れに乗り遅れた日本、ドイツ及びイタリアの後発国は、先発国のアウタルキーからはじき出されたのである。これが、第二次世界大戦の要因なのだ。

 強硬派のアチソン(戦後国務長官)は、「
言うまでもないが、誰ひとり日本が真珠湾攻撃を成功させるなどとは思っていなかった」と述べている。

 結局、日本は戦争か隷属かの二者択一を強要されたのだ。
 
強圧的な外交を推進するには鞭もいるが同時に人参も必要である。それにもかかわらずアメリカは日本に対して何一つ妥協の用意がなかった。
 日本との暫定協定を結ぶことすら考慮していない。たとえば、日本を南部仏印侵略前の状態にし、石油禁輸をいったん解除するというような暫定措置なども考えられたはずである。


 
単純化して言えば、満州と朝鮮を治め中国を制圧し、さらに東南アジアに侵攻し、加えて太平洋方面でアメリカを打ち破るといった行動を可能にするほどの資源を日本は持ち合わせていなかったのである。

 日米戦争前のアメリカでは、世界恐慌後の景気回復のため需要の創造が喫緊の課題だった。需要の創造の最たるもの、それは「戦争」である。 


 日本の戦略は、海軍の伝統的な邀撃漸減(ようげきぜんげん)作戦を意図していた。敵艦を引き込み潜水艦によって逐次撃破して艦船の決戦までに有利な状況をつくるはずだったが、しかし、真珠湾まで出張ったことが致命的になった。

 私にとっての日米戦争は、あれだけ潜水艦を増強しておきながら邀撃漸減を放擲して、なぜ、真珠湾まで出張ったかというのが喉の小骨のようになっている。

 6-1から6-5でも触れているが、アメリカにも戦争特需を期待するFDR(フランクリン・デラノ・ルーズベルト大統領)の思惑があった。結果的には、アメリカ経済は日米開戦によって急速に回復した。経済的視点でいえば、FDRは戦争により需要を創造したのだ。

 参考書籍等
 「アメリカはいかにして日本を追い詰めたか」草思社
  ジェフリー・レコード著


 6-1から6-6は、年初に思いを巡らせた下記の日米戦争に係る書籍のほんの一部を、断続して紹介したものである。

 参考書籍等
 
①「ルーズベルトの責任」上下 チャールズ・A・ビーアド著 藤原書店 開米潤監訳 阿部直哉・丸茂恭子訳

 ②「裏切られた自由」上下 草思社 ハーバート・フーバー、ジョージ・H・ナッシュ編 フーバー大統領が語る第二次世界大戦の隠された歴史とその後遺症 
渡辺惣樹訳
 
 ③「裏口からの参戦」上下 草思社 ルーズベルト外交の正体1933-1941
  チャールズ・カラン・タンシル著 渡辺惣樹訳

 ④「ルーズベルトの開戦責任」草思社 大統領が最も恐れた男の証言
  ハミルトン・フィッシュ著 渡辺惣樹訳

 ⑤「アメリカはいかにして日本を追い詰めたか」草思社
  ジェフリー・レコード著 渡辺惣樹訳


  

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