「防衛」とは何なのか
ハゲタカの餌になるコングロマリット
昭和30年代と昭和60年代以降の日本の安全保障環境
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日本を侵略する軍事力を持つ国
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日本の防衛体制
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日本の防衛を整備する経済力
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アメリカの力
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昭和30
年代
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ソ連くらい
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敗戦直後で不十分
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なし
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「世界の警察官」として圧倒的な力を有する
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昭和60
年代以降
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ロシア、中国、北朝鮮
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相変わらず不十分
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あり
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「世界の警察官」も困難に
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〔1〕 32P参照
日本の安全保障環境が激変している。国民の防衛意識の拡散は焦眉の急であろう。
このままでは
東芝はいつか完全に消えてしまう
https://diamond.jp/articles/-/289360
東芝の経営陣が、日本では異例ともいうべき会社の三分割の方針を発表しました。一つ目が発電所や交通インフラ、エレベーターなどのインフラサービス会社。二つ目が半導体やHDD、それらの製造装置を担当するデバイス会社。そして、ファンドに売却したキオクシアなど保有株式を管理する東芝の3社です。
東芝のように幅広い事業を展開する大企業を、「コングロマリット」と呼びます。
1980年代から、このようなコングロマリットは戦略的に不利だという説が唱えられ、欧米では電子機器メーカー大手のHP(ヒューレット・パッカード)や化学大手のダウ・デュポンなど企業分割を戦略的に断行するコングロマリットが出ています。
。
綱川智社長が「未来に向けた進化」だと語る三分割ですが、歴代経営者が失敗してファンドによって分割されることになったというのが実情でしょう。そしてファンドが考える「三分割したほうが全体の株価は上がる」という戦略論は、実は東芝の場合は時代遅れです。
東芝は、2006年に買収した原子力大手のウェスティングハウスにより巨額の損失を出した。上場廃止を回避するため第三者割当で6,000億円を調達したが、東芝の株主の25%がいわゆる「ものいう株主」になった。株主資本主義が正しいとする勢力が拡散した情報により、「もの言う株主」がまるで正義の味方のように報道されたのは記憶に新しいだろう。
「もの言う株主」とはファンド(投資事業有限責任組合)のことだ。ファンドは資金を提供する投資家に、リターン(例えば、年25%の複利だと5年で2.44倍になる)を約束して資金を集める。彼らはアクティビストファンドと呼ばれ、高収益事業の買収、リストラ、資産売却及び会社分割等よって損益計算書を見栄えのいいようにする。最後に、買収した企業を第三者に転売するのだ。
東芝(多角化企業)のように、複数の分野を持つ企業は、専業企業と比べて、投資家から低く評価される傾向がある(これをコングロマリット・ディスカウントという)。つまり、低く評価された会社の株を買い占めて、会社を解体してバラ売りすると短期で利益を稼げるというわけだ。
「会社は誰のモノか」いう別の議論もあるが、ここでは触れない。東芝は、量子暗号、インフラ関連で世界的に高水準の技術を持っている。大量破壊兵器になる原子力技術もある。宇宙開発関連の技術もあり、防衛産業(ミサイル等)にも関わっている。国策企業ともいえる東芝が、ファンドのターゲットになった。
非政府勢力による海賊、テロ、エネルギー、食料、農業、環境及びパンデミック等と安全保障環境は激変した。そして、東芝は「もの言う株主」によって、「コングロマリット・ディスカウントの解消」という美しいことばで分割され、ファンドの餌食になる。
〔2〕参照
参考書籍等
〔1〕「知りたくないではすまされない」江崎道朗著
2018.12.19発行 ㈱KADOKAWA
〔2〕「経済安全保障のジレンマ」 平井宏治著
2022.9.10発行 ㈱育鵬社