ウクライナ危機後の世界
遠い国の出来事ではない
まず、お隣の国について
中国の独裁者になった習近平、米国専門家はこう見る/
巨大な権力と背中合わせの脆弱性とリスク
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/72419
西側によるウクライナ支援①②③は、経済学では「需要の創造」になる。この現実は重要である。
①【命中率94%】戦場の救世主ジャベリン・スティンガーがウクライナを救う
https://military-channel.site/anti-tank-missile/
②米国防総省、ミサイル製造を加速へ ウクライナ移送分を補充
https://www.cnn.co.jp/usa/35185561.html
③ウクライナ、西側供与の武器で絶大な戦果=米軍幹部
https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-germany-usa-idJPKBN2Q91OM
アメリカとイギリスは、ウクライナ人を“人間の楯”にしてロシアと戦っている。長期的に見て、今後、この“裏切り”に対して、ウクライナ人の反英米感情が高まる可能性は否定できない。
また、アメリカの行動力学は、緊張や迷いという不確実性が見られる半面、ネオコン的で過激な行動原理があり、どちらが主導権を握るかは分からない。このアメリカの不確実性が世界の不安要因になっているのだ。
一方、日本は奇妙な平和主義に席巻され、現実主義的な対応ができない。ソフトパワー(理念・文化)とハードパワー(軍事力・経済力)の連携が分断されている。例えば、日本が自立するためには核保有が必須だが、この議論すらできない。
広島・長崎の教訓は、「もし日本が核を保有していればアメリカは原爆投下をしただろうか」という、素朴な疑問を想起することではないのか。核保有はパワーゲームの埒外に日本を置くことであり、属国の汚名を濯ぎ、真の自立を果たす手段の一つなのだ。
広島31万人、長崎18万人、合計49万人の原爆投下による死者に頭を垂れ、核保有を誓ったうえで、「安らかに眠ってください過ちは繰返しませぬから」と何故言えないのだろうか。
このようなユートピアニズム(E・Hカー)は、奇妙な金融緩和はするが、経済理論を蔑ろにして固定資本形成(財政拡大)を拒否する愚かな日本の経済政策に通底する。誰のための金融緩和なのか、と言いたくなる。
プリンストン大学のクリストファー・シムズ教授は、金融政策が効かない理由を「物価水準の財政理論」で説明している。金融緩和は有効であるが、より強い効果を出すためには「財政拡大」と組み合わす必要があるのだ。
繰り返すが、核の不均衡はそれ自体が不安定要因になる。中国に加えて北朝鮮も実質的に核保有国になるなかで、日本の核保有は、むしろ地域の安定化に繋がるだろう。
〔1〕参照
今回のウクライナ侵攻によって、「脱ロシア」の代償は膨大なものになる。イギリスの石油大手のシェルは、ロシア事業の撤退により、約5,000億~6,200億円(2022.1~3月期)の減損になる。
日本の対応はどうだろう。
「サハリン2」からの撤退に反対してきた「経産省の責任」は極めて大きい
このような地政学的な要素が、脱グローバリゼーションに拍車をかけるだろう。
オープンソースによって情報を発信している「ベリングキャット」の現在の見立てを紹介しよう。
ベリングキャットが認知されたのは「マレーシア航空17便(MH17)撃墜事件」を解明したことだった。「ベリングキャット」はオープンソースによって、MH17の撃墜はロシア軍第53対空旅団発のものであることを調べ上げたのだ。
現在、ウクライナで起きていることは、ロシア側にとって多くの懸念材料があると思います。触れてほしくない隠された真実があるのです。私たちはロシアに関してさまざまな調査を行っていますから、今後もロシア側は「ベリングキャット」に対して注意を払わなければならなくなるでしょう。
〔2〕参照
ウクライナ紛争は現在進行中であり、予断を排除して考えなければならない。現実も歴史も、フィルターによって見方が異なる。私は年初以来、6回に分けて日米戦争を振り返ってきたが、泰斗の見解を斟酌し、イデオロギーを排してリアリズムに徹したつもりだ。
現在進行中のイベントでは、特に「情報の選別」が大切になる。「情報リテラシー」が、私たち(日本)の未来を決めるのではないか。
参考書籍等
〔1〕「第3次世界大戦はもう始まっている」
エマニュエル・トッド著 大野舞訳 文春新書 2022.7.10
〔2〕ウクライナ危機後の世界
ユヴァル・ノア・ハラリ外6名 大野和基編 ㈱宝島社 2022.7.6