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「二階ショック」は、日本の「いわゆるリベラル」と「なんとなくリベラル」をうまく取り込んだ。以下、日本のリベラルについて考える。
「緊急事態宣言」可能にする法案
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200307/k10012318531000.html
政府は、新型コロナウイルスの感染がさらに拡大した場合に備え、総理大臣が「緊急事態宣言」を行い、自治体による外出の自粛や学校の休校などの要請や指示を可能にする法案を来週10日に国会に提出することにしています。
新型インフル特措法「改正」案
志位委員長が会見
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik19/2020-03-06/2020030601_01_1.html
その上で、とくに安倍政権のもとでの「緊急事態宣言」による私権の制限には国民に疑念や不安が広範にあると指摘。「たとえば、施設の使用中止の要請・指示ができるようになる。普通に集まって相談をすることもできなくなる恐れがあります。集会の自由への制約になる」と述べ、全体として歯止めが十分担保されていないと指摘しました。
まず、上記二つのニュースに驚き、あきれた。驚きは、「緊急事態法案」は個別の時限立法案であるということだ。日本は、緊急事態が起きるたび「緊急事態法案」を審議するようだ。
あきれたのは、破防活動防止法の調査対象団体の共産党が「自由の制約」という「おためごかし」を、緊急事態に持ち出していることである。
日本はチャイナと異なり自由の国であり、思想(社会的・政治的な性格のもの等)の自由が認められている。憲法19条(思想及び良心の自由は、これを侵してはならない)に明記されているとおりである。したがって、下記の私の拙い論考も許されるだろう。
共産党が破防法に基づく調査対象団体であるとする当庁見解
http://www.moj.go.jp/psia/habouhou-kenkai.html
その後,共産党は,武装闘争を唯一とする戦術を自己批判しましたが,革命の形態が平和的になるか非平和的になるかは敵の出方によるとする「いわゆる敵の出方論」を採用し,暴力革命の可能性を否定することなく(注2),現在に至っています。
こうしたことに鑑み,当庁は,共産党を破壊活動防止法に基づく調査対象団体としています。
共産党が破防活動防止法に基づく調査対象団体であるを知らない人が多い。
衆院の共産党総務委員は、ご存知なかったようで、そんな(共産党が破防法の調査対象である)はずはない、と涙を浮かべ(て)られました。若い共産党員には、そういう方が多いように思います。
足立康史@adachiyasushi Twitter 2019.3.10より ()は青山追加
共産主義については、エドガー・フーバー元FBI長官の捜査に基づいた分類が参考になる。
フーバーの五分類
①公然の党員
②非公然の党員
党の規則を受け入れているが、入党を公表していない人をいう。彼等は公然の党員を拒絶する人に近付いたり、組織の中で党の大義を堂々と翳すことができるので、党の指導者から徹底的に秘匿されている者もいる。
③同伴者(フェロー・トラベラー)
積極的に共産党に対して支援を行う非党員であるが、消極的な支援をおこなう「シンパ」とは区別されている。トロツキーは「パプーチク」といって、途中下車してしまうかもしれない信用のおけない人々とみなしていた。しかし、その後人民戦線路線が採用されたことにより、連携相手として非党員の重要性が高まり、「パプーチク」の否定的な意味合いがしだいに薄れていったようだ。
④機会主義者(オポチュニスト)
利害によって動く人達、たとえ共産主義者を裏切っても気にしない人達である。
⑤デュープス
騙されやすい人達、フーバーは「罪のない犠牲者」と言ったが、いわゆる”カモ”である。
〔1〕
「リベラリズム」
個人の価値や人格の尊厳性を重んじ、人間の自由な思想・活動を可能な限り保障しようとする立場。政治的には、市民的自由の擁護・拡大、経済的には自由放任主義の主張としてあらわれる。
大辞林による
北米では、独立戦争後の自由放任主義的な古典的自由主義をリバタリアニズムという。
独立戦争の歴史から、リベラルには人としての尊厳や魂の自立、市民的権利が包含され、更に、ニューディール政策に際して福祉国家的な要素が加わった。したがって、北米のリベラリズムは社会自由主義に近い意味がある。
日本は独立の戦いをしたことはなく、いわんや、自由のために戦ったこともない。人としての尊厳よりも和を大切にしてきた。和によって魂は自立していたし、「民のかまど」に代表されるように、市民的権利を求めて戦ったこともない。
日本でも、リベラルとか、リベラリズムをよく使うが、北米とは国の成り立ちが異なるため、日本にリベラリズムに対応する言葉がない。そのため、リベラルという語感に寄りそう「なんとなくリベラル」が「デュープス」になるだろう。
正義感に満ちているが、共産主義の構造すら知らない。この無知な善意が共産主義者に操られている。
「安倍政治を許さない」というフレーズを街中でみかけるが、では、「なにを目指すのか」が分からないし、「なぜ、許さないのか」も分からない。私は、「なんとなくリベラル」という、「デュープス」を感じる。
フーバーの五分類については、佐々木太郎氏が「革命のインテリジェンス」(勁草書房)で論考しているが、①公然の党員と②非公然の党員の立ち位置がわからないままだった。
掛谷英紀氏の下記のコラムを読んで、「公然の党員」と「非公然の党員」の立ち位置が氷解した。フランスの国際関係論の金字塔を打ち立てた「レイモン・アロン」の、「正直で頭のいい人は左派になれない」という言葉によって。
「公然の党員」と「非公然の党員」は、不正直で頭の良い人達だった。
レイモン・アロンは、フランス人では珍しく世界レベルで活躍し、フランスの国際関係論において金字塔を打ち立てた知識人である。
なぜ人は共産主義に騙され続けるのか
https://www.epochtimes.jp/p/2019/08/46112.html
掛谷英紀氏は、公然の党員、非公然の党員及びフェロー・トラベラーを中核層、オポチュニストを利権層、デュープスを浮動層と三分類している。その複合体が左翼ということだ。
フェイクニュースを垂れ流す人たちは、中核層と利権層であり、「いわゆるリベラル」という仮面を付けた不正直で頭のいい人である。その下にぶら下がるのが、「なんとなくリベラル」という浮動層になり、正直で頭の悪い人という構造になる。
リベラルに縁のないその他の人が、健全な日本人である。尚、「いわゆるリベラル」、「なんとなくリベラル」は、私がいつも感じていることだ。
参考書籍
〔1〕佐々木太郎著「革命のインテリジェンス」勁草書房 2016.2.20