庶民でも考えるMMT(現代貨幣理論)
センメルヴェイス反射
先月、改正放送法の施行に向けたNHK関係の省令等の整備についての意見募集(パブコメ)があった。以下は、投稿した私の稚拙なコメントの概要である。
時代が変わってNHKの置かれた立場も変わった。確かに、桁違いの取材費を投入したコンテンツもありはするけれど、それは、一部のマニアを喜ばすものでしかない。
地方に遍く情報が行き渡る時代になり、NHKの存在意義がなくなった。現在の情報環境の下で、あえて公共放送の意義を求めるなら、それは「対外発信」、「高齢者等」及び「災害時等」の発信に限定されてくる。抜本的な組織の見直しと、通常放送についてはスクランブル化が必須である。
それにしても、「あいちトリエンナーレ」は惨いものだが、共同通信と朝日新聞が、さっそく世界に拡散している。
藤原かずえ Twitter @kazue_fgeewara/より
Japan art festival halts exhibition of "comfort women" statue
https://english.kyodonews.net/news/2019/08/41523ee2d816-
japan-art-festival-halts-exhibition-of-comfort-women-statue.html
Director of pulled art exhibition in Nagoya ‘regrets’ decision to give
in
http://www.asahi.com/ajw/articles/AJ201908040025.html
共同通信は日本で恐ろしい言論弾圧が行われているかのように、朝日新聞は例によって、日本軍が性行為を強制したことを伝えている。
オールドメディアは日本の財政破綻にも大いに関心があるようで、10%の消費税増税を先導した。2019年1月、アメリカのオカシオ・コルテス下院議員が、MMT支持を表明して以来SNSを通じて拡散され、今、最もホットな話題だが関心もないのだろう。
MMTは、政治的には左派の「反緊縮経済政策理論」になる。消費税増税したい派にとって、存在してはならない理論だ。
「反緊縮経済政策理論」は、P・クルーグマン教授、J・スティグリッツ教授等のニューケインジアン左派や、ヘリコプターマネーのA・ターナー(信用創造廃止派)も予てより主張していることである。ただし、経路が異なる。
MMTを端的に言えば次のようになる。
「日米英のように自国通貨を発行できる政府(政府+中央銀行)はデフォルトしない」
とはいえ、インフレの抑制には一定の配慮がいる。歳出削減、増税、金融引き締め等が考えられる。何よりも、その時こそ消費税増税だろう。
何のことはない、格付け会社が日本国債の格付けを下げた時の財務省の反論と同じであり、現在も公開されている。財務省は省益のため明らかに二枚舌を使っている。
外国格付け会社宛意見書要旨
日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない。デフォルトとして如何なる事態を想定しているのか。
https://www.mof.go.jp/about_mof/other/other/rating/p140430.htm
H17.12.12首相官邸において、藤井聡内閣参与(当時)、西田昌司参議院議員、三橋貴明氏(経済評論家)が安倍首相と会食した時に、首相が「自分には三つの敵がいる」といわれたそうだ。
一 朝日新聞に代表される反日メディア
二 財務省
三 国際金融資本
〔1〕
「一」については、朝日や毎日は論外としても、問題は共同通信である。地方紙が共同通信の配信を利用していることを知らない人が多い。また、NHKも巧妙なので、オールドメディアばかり見ている人は気が付かないだろう。問題なのは、反日の目的であり、単なる愉快犯ではない。「二」については、上記の「二枚舌」のとおりだ。さて、本題のMMTである。
銀行は預金を貸出すのではなく、貸出しによって預金が生まれる。
100万円融資した時の銀行の仕訳(顧客の預金は銀行にとって負債になる)
貸付金 100 預金 100
私は銀行にいたのでよくわかるが、顧客から預かっている預金を融資先の口座に振替えるのではなく、上記の仕訳を起こすことで融資は実行される(融資によって預金が創造されるので、これを銀行の信用創造という)。
中央銀行(以下日銀)が供給する通貨をマネタリーベースというが、いくら日銀が通貨を供給しても景気が良くならないのは、お金を借りる人がいないからである。通貨の供給は為替に影響があるが、それによって直接的に景気が良くなることはない。
とはいえ、銀行が無制限に融資すれば、預金という債務の返済(現金の引出し)ができなくなる。そのため、銀行は預金(くどいけれど銀行の債務)引き出しに備えるため、預金の一定割合を準備預金(日銀当座預金・銀行の資産)として預け入れる。したがって、貸出によって貨幣供給量が増えると、準備預金も増える。
誰かが借入(銀行が融資)すれば預金が生まれるのであれば、政府が借入(国債の発行)すれば、預金が生まれることになる。預金は銀行の負債であるが、預金者にとれば資産である。
これが、「財政赤字は、それと同額の民間預金を生む」ということになる。
政府の借入は国債発行によるけれど、その国債を銀行が買えば日銀の準備預金を使うだけになる。準備預金は日銀が供給したものであり、民間預金ではない。
しかし、政府が財政支出(公共工事等)すると、同額の民間預金が生まれる。
したがって、次のようになる。
銀行は融資によって預金を生み出し、政府は財政支出によって民間預金を生み出す。
「財政赤字は、それと同額の民間預金を生む」のだ。
では、租税は財政赤字を補填するために課すのだろうか。
税を軽くすると、通貨の需要が低下して物を欲しがり、物価が上がりインフレ圧力になる。税を重くすれば、通貨の需要が高まり、物よりお金を欲しがり、デフレ圧力になる。
ということは、デフレの最中に消費税増税すれば、通貨の需要が高まり、デフレが更に進行するという悲劇が生まれる。
租税は財政赤字を補填するためではなく、経済を調整する手段ということになる。
具体例
・高所得者に重い税を課せば所得格差を是正し、所得移転(社会保障)ができる。したがって、消費税(所得移転ではない)を社会保障の財源にするようなことはしてはいけない。
・温室効果ガス排出に税を課すと、温室効果ガスを抑制できる。
・消費税を課すと消費を抑制し景気(インフレ)を抑制できる。
民間が貯蓄超過なら政府は財政赤字であるというのは、マクロ経済学の入門編にある最も基本的なことだそうだ。「財政赤字が続けば財政破綻だ」と主張することは、民間が貯蓄することを嫌う、オールドメディアと財務省と御用学者であり、それに自傷行為が好きな国民ということになる。
尚、このことは次のグラフでも確認できる。
日本の貯蓄投資バランス:GDP比
https://www2.kumagaku.ac.jp/teacher/~sasayama/images/isbala.gif
センメルヴェイス反射
ウィーン総合病院の医師イグナーツ・センメルヴェイスは、産褥(じょく)熱による死亡は、分娩を担当する医師の手を消毒することで防げることを発見した。
しかし、医師たちは長年素手で大勢の母子を殺してきたことを受け入れられず、無視した。センメルヴェイスは著書を発刊して主張を続けたが、とうとう精神病院に入れられ、逃亡を図った際に暴行された怪我がもとで死亡したという。
あとから考えれば、誰もが思いつくことでも専門家が気が付かないことがある。それが明らかになったとき、専門家は自己の過ちを否定して感情的に攻撃することがある。
MMTの入口は、銀行は預金を貸出すのではなく、貸出しによって預金が生まれるという、誰でも理解できる簡単なことであるが、時として感情的な攻撃を受けることがある。
参考書籍等
〔1〕三橋貴明著「日本経済2020年危機」 2019.4.26 ㈱経営科学出版
〔2〕【MMTシンポ-3】松尾匡「反緊縮経済諸理論の中のMMT」(2019年7月16日、MMT国際シンポジウムより)
https://www.youtube.com/watch?v=Nk63LWWky68
〔3〕「日本の未来を考える勉強会」ー貨幣と経済成長ー 平成30年3月7日 講師:評論家 中野剛志氏
https://www.youtube.com/watch?v=PIVG7XDGrH4