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税理士・社会保険労務士
青山税理士事務所
  

超限戦と緊縮財政論

リアリズムとアイデアリズム

 チャイナは現在の戦いを、あらゆる手段によって制約なく戦う超限戦(unrestricted warfare)と捉えている。軍人と非軍人との区別もなく、共時、非対称、総合方向等全く新しい戦略を実行している。「武器による戦争」よりも、「情報とサイバー戦争」や「経済戦争」に傾注している。具体的には、世界の製造工場であり、一帯一路による地政学的覇権拡張主義である。この覇権に群がるハエは、日本にもアメリカにもいる。アメリカも一枚岩でなく、昨年の下院議員選挙で共和党は敗北した。日本の「モリカケ」等を巡るオールドメディアと野党の共闘とそっくりの構図が、現にアメリカでも展開されている。
 スティーブン・バノン前大統領首席戦略官兼上級顧問は、「
今年のアメリカの政治は南北戦争以前を含め、過去最悪の年なると私は考えています」という。
 〔1〕43頁

 翻って、緊縮財政のドクマに侵された日本では消費税増税が半年後に迫ってきた。経過措置や軽減税率について、何度も調べてはいるがどうも気が乗らない。それほど、愚かな選択だと思っているからだ。
 緊縮財政論の愚かさは、過去に幾度となく取り上げたテーマであるが、今回は、セントルイス連邦準備銀行シニア・バイス・プレジデントのデイビット・アンドルファット氏の論考を参照している。また、日銀の国庫納付金については「bloomberg.co.jp/news」の引用である。

 2013年1月22日に日本政府と日本銀行は、2%のインフレ目標を金融政策に掲げた。実行するには日銀と政府の政策協調が不可欠だ。
 統合政府の債務合計は、国債と日銀が供給するお金の合計である。日銀の量的緩和による国債の購入は、民間の国債の供給を制約して政府債務の構成を変えるだけだ。日銀が量的緩和により国債を購入しても、政府債務が日銀の資産になり通貨という日銀の債務が増える(構成を変える)だけなので、インフレの誘発に繋がらない。

 政府が財政政策のコミットメントをして、投資環境の改善をしなければならない。そうでなければ、日銀の国債買い入れは国債の需要を促進して、国債の利率を引き下げデフレ圧力を生み出すだけになってしまう。
 債務を拡大して投資環境の改善を促すのは、政府であって日銀ではないということだ。ところが肝心の政府は、考えられないような見当違いをしている。

 日本の債務のGDP比は250%といわれている、しかし、250%という数字は総債務(グロス)で,政府による融資や一部の政府間移転を含んでいる。純債務(ネット)のGDP比は150%に近い数字だ。政府資産も考慮に入れると,比率は100%まで下がる。日本政府は、「量的緩和→国債買い入れ」によって、高く評価された日本国債の価格維持に躍起になっているようにしか見えない。
 デイビット・アンドルファット「日本のインフレ目標の失敗」(2016年11月29日)

 日本銀行の2017年度の国庫納付金は前年度比51%増の7265億円になった。国債利息や株式関連収入が増加した。保有国債の増加で日銀の金利収入が拡大し、国庫納付金も増加傾向にあった。しかし、15年度以降、異次元緩和の出口で懸念される金利上昇に伴う収益悪化に備えて引当金を積み増しているため、納付金額は抑えられている。
 日銀は長期金利0%誘導のため長期国債を元本(額面)を上回る価格で購入しており、償還まで毎年均等に償却している。受入利息は2兆7128億円で、差し引き1兆2211億円が国債の利息収入として計上された。
 日銀:17年度国庫納付金51%増7265億円、株式関連収入が増加

 日銀が購入した国債の利息(通貨発行益・シニョレッジ)は国庫納付金とし一般会計の歳入金となるが、問題は後段である。長期国債を額面を上回る価格で購入した償却額だ。
 デイビット・アンドルファット氏の論考が指摘しているように、インフレ誘導は日銀と政府の協調でしか実現されない。「ゼロ金利」は日銀の勇み足ではないか。


 
 日本の名目GDPは、1997年~1998年、2014年の消費税増税によって大きく落ち込んでいる。1985年のプラザ合意による円高誘導に始まり、1989年からは日本の貿易黒字を是正するため「日米構造協議」、「日米包括経済協議」、「年次改革要望書」、「日米経済調和対話」と巧妙に名称を変えながら日本経済は骨抜きにされた。1997年は日本経済が凋落した起点となった年である。

 ※参考 
 

 
 平成10年の橋本内閣による、いわゆる「火だるま行革」と消費税増税による自殺者の急増は日本社会に深い傷跡を残した。橋本首相は、「私は1997年から98年にかけて緊縮財政をやり、国民に迷惑をかけた。私の友人も自殺した。ほんとうに申し訳なかった。国民に深くお詫びしたい」と語ったそうだ。その過ちを、またまた繰り返そうとしている。

 日銀が市場で国債を買うことで円が供給されるけれど、政府との協調(財政政策)がないため、余った円の80%以上が国外で運用されている。
 どうやら、CLO(ローン担保証券)を買っているようだ。CLOの市場拡大については、アメリカですでに懸念する声が出ており、金融庁もCLOの監視強化に乗り出している。日本は一体何をしているのだろう。


 参考書籍
 〔1〕月刊「Hanada」ーファーウェイの仮面を剥ぐ  2019.5




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