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税理士・社会保険労務士
青山税理士事務所
  

緊縮かそれとも反緊縮か

下部構造を無視する日本の左派

 主要国の実質GDPの推移
 
  Real GDP growth (Annual percent change)
  http://www.imf.org/external/datamapper/NGDP_RPCH@WEO/JPN?year=2018 
  GDP上位国も低迷している(2017年まで)。

 
 デフレを象徴するように日本の個人金融資産は逓増している。とはいえ、高度経済成長もあり資産形成期が長いため絶対値は高いが、GDP比で見るとOECDの中ではイタリアと同等の低い水準である。
 デフレ期は貨幣そのものの価値が高くなるため(貨幣の超過需要)、財やサービスに使わずに貯め込んでしまう(皆が今買うより将来のほうがもっと安くなると考える。流動性選好)。このように誰もお金を使わないときに、政府が借金して率先して使うのが財政政策(反緊縮)である。

 リーマンショック以降、世界経済はディスインフレーションに悩まされ、金融緩和にも拘らず景気は上昇することなく、世界的な緊縮財政ムードが追い打ちして景気は低迷したままである。
 ベン・バーナンキ元FRB議長が、2005年に「世界的貯蓄過剰とアメリカの経常収支赤字」で指摘したように、チャイナに代表される新興国の貯蓄過剰(需要不足)がマクロ・バランスを大きく変えている。マクロベースの供給過剰によって、先進国ではインフレや金利の高騰の可能性は少なくなった。まさに、ローレンス・サマーズ元財務長官の「長期停滞論」が画く世界である。
 低経済成長、低金利は持続すると予想して「長期停滞論」は受け入れられている。政府が債務の増加に神経質になり、中央銀行がインフレを警戒している限り、「長期停滞」は抜け出せないというのが、世界の常識であるようだ。

 特にユーロ圏の緊縮財政(財政支出削減や増税)は、ギリシャ、スペイン及びポルトガル等の債務危機を誘発して経済は急速にが収縮した。ジョセフ・スティグリッツ教授が「ガーディアン紙」(2015.6.29日)に寄稿したように、「緊縮こそが欧州の災いの種」なのである。

 デフレの日本では、左派を標榜するメインストリームメディアが「下部構造」の経済を蔑ろにして、「上部構造」である人種、ジュンダー及びLGBT等の多様性や差別に夢中になっている。「下部構造が上部構造を規定する」といわれるほど唯物史観は単純ではないのだろうけれど、上下を倒錯してしまえば「ガラパゴス化」といわれても仕方なかろう。

 一方、欧州の左派にとって、反緊縮は反戦、反核及び差別反対と両立している。豊かさを犠牲にして、「上部構造」のみを主張しているわけではないのである。
 日本のように、逆進性(所得と負担の割合が反比例する)の高い消費税を増税して、福祉や教育の無償化を主張しても(もともとスジ悪の政策ではあるが)労働者の支持を得ることはできない。欧州では、保守派が「財政赤字をなんとかしろ」といい、左派は「けち臭いことを言ってないで、政府は財政出動をして俺たちのためにお金を使え」という構図が一般的だそうである。

 アベノミクスの金融政策(金融緩和)と財政政策(公共投資等)のセットは、「長期停滞期」では必須であるけれど、「成長戦略」という余計なものが効用を減殺してしまっている。
 デフレの最中に「成長戦略(小泉内閣の構造改革も同じ)」という生産性向上路線を進めば、生産性の高い企業だけが生き残ることになる。生産性向上路線については、松尾匡教授のアナロジーが分かり易い。
 
「それこそ桶に水が足りない状況なのに、桶自体のサイズを大きくしようとしているようなものである」


 参考書籍 ブレイディみかこ・松尾匡・北田暁大「そろそろ左派は<経済>を語ろう」
       亜紀書房 2018.6.20




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