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税理士・社会保険労務士
青山税理士事務所
  

R1.9.2 世界情勢と日本経済

小泉構造改革の果てに

  まず、後日のために現在の世界情勢について私の概観を纏めておく。

 8月17日※フーシ派が、サウジアラビアのシャイバー油田を10機のドローンで攻撃した。幸い、生産停止には至らず死傷者もなかったようだ。フーシ派はイエメンで米国の最新鋭無人機を、地対空ミサイルで破壊したとされている。
 フーシ派のドローン(アバビール改良型)は、航続距離が1200キロメートルあり、低空飛行のためレーダーで捉えにくく、ミサイルの撃墜が困難である。かつ、安価(200ドル)でアマチュアでも製造できるという。ドローンの登場によって、中東は私たちが漠然と思い描いている戦闘と全く異なる展開になっている。
 ※フーシ派:イスラム教シーア派系のイエメン反政府武装組織

 米中の貿易戦争はチキンゲームの様相を呈しており、香港の混乱の終息も予断を許さない。原油市場の動向と合わせ、世界経済はリセッション入りしているといわれる(景気の指標は遅行指数なので後でないとわからない)。
 シェールオイルも投資家からの配当要求が強く、シェール企業の資金繰りも厳しくなっており、1バレル55ドル以上にならない限り増産は難しい。

 ※参考
 日本のエネルギー政策
 
年末にかけて急騰する可能性が出てきた原油価格
 https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190830-00057461-jbpressz-int&p=1

 朝鮮半島情勢については、北朝鮮が韓国を呑み込むことはないと思っている。韓国を呑み込めば北朝鮮の体制は維持できない。
 短距離核の保有をアメリカが認めている限り、金体制は維持できる。結局、韓国はチャイナに吸収されるのではないか。東レ等、韓国に巨大な投資をしている企業は一体どのように思っているのだろう。日本には桁違いの難民がくる。
 韓国のGSOMIA脱退は、チャイナにとって「棚ぼた」だろう。チャイナが韓国を呑み込んだ時、対馬が38度線になる。

 香港の民主化デモは戦略的であり、SNSから効果的な映像をリアルタイムで世界に発信している。チャイナも「六四天安門事件」のようなことはできない。
 とはいえ、状況は渾沌としていて、警察がデモ隊のふりをしたり、警察が太子駅の地下鉄で一般市民を無差別に殴ったりして白シャツ化している。独立派のリーダーからは「人道危機が起きている」というメーッセージが日本に届いている。
 「#香港」でTwitterを検索すれば、現地からの情報が溢れている。デモ隊は命をかけているので何が起こるかわからない。香港政治専門家の立教大学の倉田徹教授が、Facebookで現地から詳細を伝えている。人権が大好きな「朝日新聞」等の反日メディアはどのような反応をしているのだろう。

 以上のような緊張した世界情勢の中、際立つ「カエルの楽園」が私たちの国である。

 さて、本題のマクロ経済についてである。
 ボストンコンサルティンググループ(BCG)による2018版グローバル・ウェルス・レポートによると、100万ドル以上の金融資産の保有層は世界で2,180万人、日本では約130万人と推計されている。為替調整ベースの金融資産の増加率は、世界が7%、日本が4%と試算された。
 クレディ・スイス・インスティテュートの2018年グローバル・ウェルス・レポートは、資産総額ベースで最上位の二つの層は、世界の富の84.1%(人口は9.5%)を占め、最下位の二つの層は世界の富の15.8%(人口は90.5%)を所有している。

 「日本において格差拡大のターニングポイントは何だったのだろうか」を考えてみる。

 小泉内閣の期間(2001/4から2006/9)は、実感がないといわれた「いざなみ景気(2002/2~2007/10)」とほぼ重なっている。実質GDPの年次成長率をみると、確かに下記のとおりリーマンショックまで極端な落ち込みはない。

 
実質GDP年増減推移(IMFデータによる)

2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

0.4

0.1

1.5

2.2

1.7

1.4

1.7

-1.1


  
実感がないのは9.11テロの強烈なダメージもあるが、日本経済が事業活動による実体経済から金融による経済(ケインズ流にいえばカジノ経済)に移行した過程ではないかと思う。

 「聖域なき構造改革」といわれ、「時代の流れだ」として国民も受け入れた。しかし、小泉構造改革が日本経済の本質を変えてしまった。コンダクターは、学者・閣僚・参議院議員等の多様な顔を使い分けた竹中平蔵氏である。
 余談だが、私は竹中氏をどうしても色眼鏡で見てしまう。竹中氏は、日米間の住所を変えることで、日本に住民税を納めていないことを吹聴していたという。また、最初の書籍を共同研究者の承諾がないまま出版した、いわゆる「論文の剽窃問題」もある。この顛末を直接見てきたのが、日本が生んだ不世出の経済学者・宇沢弘文氏である。

 2002年に金融再生プログラム(通称竹中プラン)が始動して、金融パニックを引き起こす。銀行は大幅な増資を迫られ、三井住友銀行が約1,500億円の優先株増資、翌月に3,450億円の増資をする。引受先はいずれもゴールドマン・サックスだった。以下、三井住友銀行等も追随していく。三井住友銀行では優先株の配当利回りが、長期金利並みの3.5%以上(25年の固定利回り)という破格の条件だった。日本にウォール街が生まれたのである。

 上場企業等は不測の事態に備え、予め損失の引当計上をするが、法人税法では確定していない損失なので損金にならない。このため、「会計上の利益」<「法人税の課税所得」となって、増加する税金は、繰延税金資産(将来の税金として)として資産計上される。
 資産査定の厳格化や不良債権処理等によって、「繰延税金資産を何年分計上できるか」というのが、銀行にとって自己資本比率4%をクリアする分水嶺になった。責任を監査法人に転化したのである。
 そして、「不良債権を有する大手30社問題」、「郵政民営化」と続く「構造改革」によって日本経済は変質した。

 金融の実体経済では、①融資、②貯蓄に対する妥当と思われる利回り、③不可実性に対する保険の三つが考えられる。しかし、金融テクノロジーの発達によって、②の資産効率を高め③の不可実性を低くすると称して、①の上部構造を大きくしてきた。預金を貸金に代える「※間接金融」から、①を証券化することで肥大化させ②を効率化する「直接金融」に転化して、これを「進歩的」であるかのように見せてきた。

 ※間接金融 今話題のMMTでは、融資によって預金は創造されると考える国民経済的な思考をする。結論はニュー・ケインジアン左派と同じになる。
 内生的貨幣供給理論 庶民でも考えるMMT(現代貨幣理論) 

 2004年の「金融改革プログラム」や、2007年の「金融・資本市場競争化強化プラン」、民主党政権による「金融審議会金融分化会基本問題懇談会報告」を通じて、直接金融による金融の近代化が促進され、②の効率追及がいつのまにか、「東京市場をシンガポールや上海に負けないアジアナンバーワンにしよう」と、国家の威信の問題になってしまった。こうして、日本はアメリカのひそみに倣って金融のカジノ化が促進された。

 この流れの中で、「不良債権を有する大手30社問題」が起こり、不良債権処理の美名のもとで潰され、二束三文で外資に叩き売られた。総理大臣の一声で、アメリカでも民営化できないユニバーサルサービス(全国津々浦々まで配達する義務がある)の郵便事業まで民営化してしまった。大手30社を処理して、郵政も民営化すれば日本は再生するのだと思い込まされた。
 企業経営もステイクホルダー型からソトックホルダー型に変質した。株主の利益を優先する「株主資本主義」への移行である。

 ※最終的には、日本郵便は日本郵政(持ち株会社)が100%の株を持ち、日本郵政の傘下に入る。しかし、本来トータルで考えるべきユニバーサルサービスが分割され、利益の出る「ゆうちょ銀行」と「かんぽ生命保険」が民営化された。

 あとから考えれば、30社の9割は営業利益・経常利益は黒字だったのである。森永卓郎氏がいうように、「ダイエーが不良債権処理で潰されなかったら、今、日本で一番の優良企業になっていたと思います」というわけだ。
 ダイエーは駅前の一等地を多く持ち、リクルート、銀座のプランタンの営業権、福岡ドーム、シーホークホテル、ローソン等を持っていた。ステイクホルダーを切り捨てたのである。

 
事業の安定した流れがあれば、その上のあぶくとして投機家がいても害はありません。
でも、事業のほうが投機の大渦におけるあぶくになってしまうと、その立場は深刻なものです。ある国の資本発展がカジノ活動の副産物になってしまったら、その仕事はたぶんまずい出来となるでしょう。
 ウォール街という機関の適切な社会目標は、新規投資を将来収益から見て最も高いチャンネルに流し込むことだと考えられますが、それが達成した成功の度合いを見ると、自由放任主義の傑出した勝利とはとても呼べません・・・ウォール街最高の頭脳が実は全く別の目標を目指しているのだと考える私が正しければ、これは驚くほどのことではありませんが。

 [1] 長期期待の状態Ⅵ ジョン・メイナード・ケインズ

 購買力平価による世界GDPシェア、日本は1980年の0.53(53%)である。
 データはIMFより



 実質GDPの主要国前年度増減比率
 リーマンショックに直接関係がないはずの日本は、イギリス以上の落ち込みだった。
1997年・1998年、2014年は消費税増税による影響である。2020年が怖い。
 データはIMFより



 参考書籍
 〔1〕ジョン・メイナード・ケインズ著 山形浩生訳「雇用、利子、お金の一般理論」 ㈱講談社 2013.4.12発行
 〔2〕ロナルド・ドーア著「金融が乗っ取る世界経済」中央公論社 2011.10.25発行
 〔3〕佐々木実著「市場と権力」講談社 2014.2.3発行



 

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