氾濫する情報
インターネットリテラシー
━厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の現在の状況と厚生労働省の対応について」━より作成
右軸の「死者数÷陽性者数」は、累積値の日ごとの割合(%)
「情報リテラシー」が喧伝されて久しい。インターネットを適正に利用している人は、「テレビ報道」の偏向に不快感を抱いているのではないか。良質な番組も多いとは思うが、少なくとも「テレビ報道」に関しては、電波の独占的な利用が弊害を生んでいるように思う。
「報道」は公共性が高いのだから、電波の寡占は避けるべきだ。主張したいのであれば、電波を開放して公正な競争でコンテンツを競わなければならない。
テレビ局はなぜ「電波オークション」を恐れるのか
電波をオークション(競売)で割り当てる制度は、日本以外の先進国(OECD諸国)はすべて実施しており、アジアでもオークションをやっていないのは中国と北朝鮮とモンゴルだけだ。民主党政権でもオークションの導入が閣議決定されたが、安倍政権がつぶした。こんな当たり前のことがいつまでも実現できない背景には、二重三重の誤解がある。
問題は料金の負担額ではなく、電波が浪費されていることだ。土地にたとえると、現状は都心の一等地をテレビ局が占拠して使っていないような状態だ。彼らのいるUHF帯(470~710メガヘルツ)の時価は数兆円だが、1割も使われていない。これは銀座の土地が1万坪ぐらい空いているに等しい。
実は、新聞(全国紙)にも新規参入が進まない理由がある。既存の新聞社が「宅配網」を独占していて、新規参入する場合、新たに「宅配網」を構築しなければならず採算が取れないのだ。
したがって、現実には新聞(全国紙)も、自由な流通市場は存在しないと言える。とはいえ、新聞はネット配信が普及して、既にコンテンツを競う時代に入っている。
尚、メディアの需要動向については、相関が強い「広告収入」から見るといいだろう。
━「特定サービス産業動態統計調査/経済産業省」━より作成
全広告売上に対する新聞・テレビ・ラジオの広告売上の割合(右軸:折れ線グラフ)は、 1988年:53.7%、2020年:28.7%だった。
上記のグラフで、「インターネット・赤」と「その他・緑」の著しい伸びを確認できるだろう。広告の手段が多様化され、複数の組み合わせもある。以前は、「新聞・テレビの広告」と「購買意欲」の間に、一定の期間があり、「購買意欲」の振興を経てブームになっていたように思う。
情報と広告が密接になると、逆に、消費者がコントロールされる時代になっている。流行のサイクルも短く、多様になった。
ターゲティング広告とは?種類と気になる仕組みを解説【マーケティングコラム】
https://marketing.creditsaison.jp/article/2020/08/21/73
商品やサービスだけならまだしも、国の安全保障という根幹まで汚染されては、最早、なすすべはない。インターネットリテラシーの重要性が、益々高まってきた。
特集 ICTがもたらす世界規模でのパラダイムシフト
(2) インターネットリテラシーの重要性
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h26/html/nc143120.html