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税理士・社会保険労務士
青山税理士事務所
  

属国の悲哀

決断すらさせてもらえないのか

 
 日銀/主要時系列統計データより作成

 今まで何度も取り上げたが、2014年4月、2019年10月の消費税増税前のピークが痛ましい。武漢ウィルスの蔓延による人的、経済的損失等も、上記のグラフを見る限り短期間で恢復出来る性質のものではなかろう。

 今さらどうなるものでもないが、グラフを作る度に思うのは、「大胆な金融政策」だけで充分だと判断して、「財政政策(政府の新たな支出、公共投資等)」を忌避したことである。私の言語空間では、悲壮なくらい「財政政策」の必要性が唱えられていた。
 結果として、安倍政権のこの決断が日本の凋落に棹さすことになってしまった。

 浜田宏一・内閣官房参与 核心インタビュー
 「アベノミクスがもたらす金融政策の大転換 インフレ目標と日銀法改正で日本経済を取り戻す」
 https://diamond.jp/articles/-/30804
 この中で、浜田参与は「金融政策」だけで充分だと主張されている。ただし、浜田参与は助言しただけなので、責任は為政者にある。

 自国通貨建て国家の国債発行による破綻リスクが気になるのであれば、自分で調べて考えればいい。すぐ、わかることだ。

 「アベノミクス」私は考え直した
 因みに、2016年8月の世界の中央銀行のお祭りともいえる「ジャクソンホール会議」において、プリンストン大学のクリストファー・シムズ氏の基調報告(物価水準の財政理論)を読んで浜田参与は「私は間違っていた」と考えを改めている。

 シムズ氏は、金融政策が有効であることを認めたうえで、「より強い効果を出すためには、減税など財政拡大と組み合わせよ」と提唱している。従来の経済学では、財政規律が緩むと、過度なインフレを招くうえに財政赤字がかさみ、経済にダメージを与える事が強調されていた。しかし、シムズ氏は意図的に「赤字があっても、財政を拡大するべき(時もある)」と主張している。

 シムズ氏の理論は、貨幣の価値を究極的に保証しているのは国家の徴税権であるとする「物価水準の財政理論」の応用だったのである。「なぜ金融政策だけでうまくいかないのか」を、ずばり言い当てている。そして、「より強い効果を出すためには、減税など財政拡大と組み合わせよ」と提唱する。

 なんのことはない、良識ある人たちが気も狂わんばかりに主張していたことなのである。上記は、文藝春秋2017.1の新年特別号、━━「アベノミクス」私は考え直した━━から記載した。

 私に泰斗を批判する資質などあるわけがない。ただ、2014年4月、2019年10月の、財政破綻論(年金財源等)に依拠した消費税増税は、実務家の拙い知識でおかしいと思っただけだ。
 年金財源は消費税(間接税)と全く関係がないものだ 。市井には、同じように考えていた人たちも多くいた。しかし、この決断によって、日本は再生の機会を放棄したまま「パンデミック」を迎えたのである。
 所得移転と社会保障

 上記のようなグラフを作る度に思うのは、「私たちの国は自国のための決断を許してもらえない国」ということだ。自衛権を放棄する国家が生き残るには、主権を放棄して属国になるしかないのだ。

 16日に閉会した通常国会では、チャイナの人権侵害等の非難決議すらできなかった。国民の平和ボケが、国会に妖怪を棲息させている。

 蘋果日報(アップルデイリー)が休刊に追い込まれた。6/25の産経新聞では、「
中国政府が、蘋果日報に対して行ったことは、香港社会だけではなくすべての民主主義国家に対する挑発行為と言える」と報じている。

 東芝問題についても批判するのは容易いが、東芝は単なる上場企業ではない。原子力発電、半導体及び量子技術等の国の安全保障と密接にかかわる企業である。甘利明氏が言うように、海外アクティビストは「経済安全保障」の重要性を無視しているのだ。寧ろ、経済安全保障の立場から、「物言う株主」に対する監視体制の厳格化の議論が湧き起こらなければおかしい。
 自国のための財政政策すら実施出来ない国だから、その程度の議論も起こらないのだろう。

 少しでもいい、一人一人が行動しよう。仲良しクラブを作る必要もないと思うし、私は嫌いだ。例えば、官邸メールという手段がある。官邸メールは簡潔に要点を纏めよう。私たちの意見が多ければAIも拾ってくれるだろう。


 参考書籍等
 〔1〕文藝春秋 2017.1 新年特別号 



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