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青山税理士事務所
  

ワニの口

新自由主義



 International Monetary Fund, World Economic Outlook Database, October 2021
 単位:10億ドル、自由主義市場経済でない中国のデータは除外している。

 2011年3月11日の「東日本大震災」を念頭に置き、過去20年間の推移を見れば、誰が勝ち、誰が負けたかは一目瞭然だろう。アメリカと日本の推移は、まるで「ワニの口」のようだ。

 1990年イラクによるクウェート侵攻の際に、クウェートは支援をしてくれた約30カ国に対し感謝の広告を米紙に掲載した。この時、130億ドルの血税を拠出した日本の名はなかった。
 以来、日本は何が必要で、何を切り捨てるべきかの選択を誤り平衡を失ったようだ。故竹村健一氏が「日本の常識は世界の非常識」といったが、正に慧眼であろう。

 「日本の常識は世界の非常識」については、宮家邦彦氏も「2021.10.07/産経新聞東京朝刊で」指摘している。

 ・主要国で選挙によって選ばれた首脳レベルの要人が、1日に2回も定例記者会見に応じている例(官房長会見)は日本しかない。
 ・G7諸国の首脳レベルの記者会見は短時間で、英国は平均5分程度、仏独伊各国やEUでもせいぜい30分、ぶら下がり取材を認めない国も少なくない。日本のように首相の記者会見に1時間程度、ぶら下がり取材にも時間を割いている国はない。

 要するに慣例に胡坐をかく記者が、伝えるべきことを伝えず世論をあらぬ方向に向けている。同時進行するナショナリズムの劣化は、GDPの停滞の影に隠れている「日本の病巣」ではなかろうか。

 この間、アメリカは「日本のぶら下がりマスメディア」のお陰で、日本を飲み込んで成長してきた。しかし、富を差し出してきた対米追随のオプションも、アメリカのアフガン撤退によって覚束なくなった。

 今、アメリカは政治、軍事のトップ2が求心力を失った状態にある。島田洋一氏によると、日本にとって対米追随というオプションは最早無くなったという。
 アメリカはアフガン撤退によって、テロ情報を中国、ロシア、パキスタン、イラン等の怪しい国々に頼る度合いが大きくなった。

 「China 2049」の著者マイケル・ピルズベリー氏は、
「対ソ秘密戦契機に米中は水面下で盟友関係に入った。日本には何も知らせなかった。日本は秘密作戦を行わないが、米国と中国は行うし、そのための機関を持っている。そこに、米中ならではの深い協力関係が生まれた」と述懐しているという。
 産経新聞/東京朝刊 2021.10.07『バイデン政権「戦略的失敗」と日米』島田洋一より

 以下、「ワニの口」の原因について、思いつくままに列挙してみる。アメリカと日本のGDPの「ワニの口」は、偶然できたものではない。

 ・日本財布論(ゆうちょマネー)→緊縮財政→資金はアメリカへ
 ・ゆうちょマネーは財政投通融資によって国内で使っていた。しかし、現在米国債の25.5%が海外投資家保有、その40%を日本が保有している。
 ・市場万能主義、小さな政府(供給サイドの経済学)
 ・公共投資の制約
 ・マネタリズム(日本の異次元金融緩和はだれのためのものか)
 ・利権を目の敵にする「新自由主義」→利権は日本人の利権だった
 ・官から民へ、官は悪、民は善という欺瞞
 ・二度の消費税増税によるデフレの継続→日本の金融資産が海外へ
  流動性の罠

 郵政民営化を煽った総理大臣がいたが、そもそも郵政は、郵便、貯金、保険の三事業があり、三事業に利益還元されていた。特に、郵政は国民生活に不可欠はユニバーサルサービスである。営利企業にできるものではない。



 

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