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税理士・社会保険労務士
青山税理士事務所
  

グループシンク(集団浅慮)

平和主義

   厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の現在の状況と厚生労働省の対応について」より作成
 R3.1.1~R3.10.7// 右軸の「死者数÷陽性者数」は、累積値の日ごとの割合(%)

 ある時代のものの見方、考え方をパラダイムという。パラダイムの世界的変遷を俯瞰すれば、およそ、以下のようになるだろう。

 19世紀は国家より個人が前面に出てリラベラリズム(自由主義)、レッセ・フェール(なすに任せよ)が広がった。しかし、経済は悪化の一途を辿って1914年の第一次世界大戦や、世界恐慌につながった。

 その反動として、国家主義が興り、大規模な公共工事や軍事力を強化したヒトラーを生んだ。ヒトラーの政策によって、ドイツの失業率はほぼゼロになっていた。

 そのころ、J.M・ケインズは、「雇用・利子および貨幣の一般理論」を発表して、「生産水準の大きさは、有効需要の大きさで決まる」という、「有効需要」を唱えたのである。
 「資本主義を救うためには国家が必要だ」という考えを、見栄えのいい装いで敷衍したのがケインズの「一般理論」だった。

 一方、「有効需要」の間隙を縫うように登場したのが、社会主義市場経済という、水と油を一緒にしたような中国である。自由主義経済が一党独裁国家と連結されたことで、今回のパンデミックは興った。
 しかし、発生源の中国は全体主義によって、拡散するにしろ、終息するにしろ、「コロナ禍」をコントロールしているように見える。

 
このことで私たちは挑戦を受けることになりました。警戒しなければいけません。歴史はひょとしたら、全体主義国が持っている武器を民主主義諸国が持ち合わせていないという時代に入りつつあるのかもしれないからです。
 〔1〕46頁

 中国の現状はよくないのです。教育レベルはほかの先進国に比べてまだ低い。高等教育を受ける人はまだ15%くらいです。けれども約14億の15%です。相当な数になります。
 だから、中国は二つに引き裂かれています。高い学歴を持つすごい数の人材によって世界レベルで行動する大国でありながら、国内では不均衡に苛まれている。
 奇妙なことですが、中国は対外的には世界の大国でありながら、対内的には脆弱なのです。

 〔1〕51頁

 アメリカ大統領選挙の最中、反トランプの一翼を担うかのように「人種差別問題(ブラック・ライブズ・マター)」等が喧伝された。穿った見方をすれば、中国の弱点をアメリカにも思い出させようとしているようにみえる。

 翻って日本は、かつて、エズラ・ヴォーゲルが「ジャパン・アズ・ナンバ-ワン」を上梓して、日本的経営を高く評価した。しかし、日米戦争を戦った世代の交代と共に日本経済は停滞していく。中国のウィグル等の人権侵害に対しても、欧米諸国が厳しい視線を向ける中、日本は非難決議すらできず政権交代が行われた。

 日本人の体たらくは、日米戦争を戦った世代が共有していた「帰属意識」を失ったからだ。エマニュエル・トッド氏が言うように、「真の帰属意識」とは社会でものごとを前進させる力である。
 みんなで快適にいっしょ暮らすというだけでなく、能動的な連帯なのだ。

 平和主義:
 平和を至上の価値として、その維持・擁護に最大の努力を払うべきだとする立場。
 大辞林より

 「最大の努力」は少なくとも、「グループシンク」ではないだろう。

 グループシンク(集団浅慮)
 
仮に、超高学歴の政治家も歴史学者もみな同じ社会カテゴリーに入れ、そこでは社会の全体が見渡せ、その動きがわかるとします。

 たとえばマクロン大統領。彼は地方のブルジョワ出身で両親は医者です。そして彼はなぜか自分自身のアイデアを持つことはできませんが、あるとき社会的にどんどん上昇するレールに乗ることに成功します。

 そしてたどり着いた場所にいたのは、彼と同じようになるための選別を経てきた人々ばかりでした。EUは良くない、ユーロもだめ、という思想の持ち主であればENA
に入ることはできませんから。

 このようにして、最終的に自分と同じような思考を持った人たちばかりに囲まれます。そして周囲の人々も彼と同様、新たなアイデアを持つことはありません。

 このような状況から生まれるのが、グループシンクと呼ばれるコンセプトです。これはフランス社会に特有というわけではありません。
 すでに分析され、存在するものです。ある同じような思考を持った集団がある事柄を信じこむのですが、それが外の現実とはまったくそぐわないという事態が起こることを、グループシンクというのです。

 ※国立行政学院
 〔2〕103頁


 参考書籍等
 〔1〕「パンデミック以後」エマニュエル・トッド著 聞き手 大野博人、笠井哲也、高久潤 朝日新聞出版 2021.2.28発行
 〔2〕「エマニュエル・トッドの思考地図」 エマニュエル・トッド著 大野舞訳 ㈱筑摩書房 2021.1.25発行



 

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