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デジタル独裁

決断の時

 2024年から米新時代 次期政権は移行期
 アメリカの次期大統領は、トランプ氏であれ、バイデン氏であれ、3期目・2期目はなく、次の世代に引き継ぐ移行期としての性格が強い。そして、2024年に大統領選で選ばれる人物が、新自由主義路線に続く新たな時代を担う可能性が高い。
 新自由主義とは、市場が合理的に動くことを期待してグローバル化を進め、経済的に豊かになれば世界が同じ価値観を共有できるようになるという考え方だ。しかし、2008年のリーマンショックによって、金融の仕組みの不安定さをさらけ出した。

 チャイナは市場経済を通じ世界第2位の経済大国になり、権威主義的な勢力として影響力を広げている。豊かになれば、「自由」や「民主主義的な価値観」を共有できるという考えは甘かったのである。
 アメリカ議会では、党派を超えて中国に対する厳しい見方が共有されており、バイデン氏が大統領になっても対中関与政策に戻る可能性は低い。習近平体制はデジタルレーニン主義ともいわれ、最新のテクノロジーで強化された独裁体制のモデルになりつつある。

 日本の大手企業のトップも、経済が「コロナ前」に戻ることはないと認識している。
 JR東日本・深沢祐二社長
 
コロナ収束後もテレワークは浸透し、鉄道需要が完全に元に戻ることはない。

 ENEOSホールディングス・大田勝幸社長
 
(石油需要が)完全に戻ることはない。20年後は(現状の)半分になるという思い切った想定を立てている。
 〔1〕参照

 世界的にも、ヒト・モノ移動は大幅に抑制されるだろう。行き詰まりを迎えている資本主義を尻目に力を蓄え、コロナ過で激変する世界を変えようとしているのがチャイナである。チャイナで実践されている経済システムは、「共産主義」というより、「デジタル専制主義」だ。

 2018年の「世界経済フォーラム(ダボス会議)年次総会」で、ユヴァル・ノア・ハラリ※氏は、「データこそが世界で最も重要な資産」と説き、データを持つものや、データを制御する者が人類の未来も制御すると訴えた。そして、その行きつくところは「デジタル独裁」だと警告している。
  ※ユヴァル・ノア・ハラリ ベストセラー「サピエンス全史」で知られるイスラエルの歴史学者。

 それは、現在進行形の危機である。中国電子商取引(EC)の再大手のアリババ集団傘下の電子決済サービス「支付宝(アリペイ)」には、「芝麻(ゴマ)信用」という機能が組み込まれている。利用者の資産や行動履歴等をポイント化し、スコアによって金利優遇等の恩恵が受けれるようになっている。
 チャイナの結婚情報サイトには登録者のスコアが掲載され、高スコアの人物には結婚希望が殺到する。このようなデジタル活動のデータを独占的に掌握する者が、経済を、世界を支配することになる。一党独裁のチャイナであれば、それが容易だということは想像がつく。
 現在は、「ビッグデータ」という新たな資産を武器にしようとするチャイナと、その野望を打ち砕こうとするアメリカの覇権争いの真っただ中にある。
 〔2〕参照

 私はAndroidのスマホを利用しているが、多様なアプリを使うために「Google Play開発者サービス」がプレインストールされている。このソフトの更新を怠るとアプリが使えなくなる。「Google Play開発者サービス」の使用承諾書を読んでみるといいだろう。驚くほどの個人情報を提供するようになっている。

 2005年9月、ハリケーン・カトリーナがアメリカ南部を襲い、ニューオーリンズは甚大な水害に見舞われた。新自由主義の教祖的存在だった経済学者ミルトン・フリードマンは、「ウォールストリート・ジャーナル」紙の論説に次のように書いた。

 
ハリケーンはニューオリンズのほとんどの学校、そして通学児童の家々を破壊し、今や児童生徒たちも各地へと散り散りになってしまった。まさに悲劇と言うしかない。だが、これは教育システムを抜本的に改良する絶好の機会である。

 その後、ニューオーリンズ市は教育バウチャー制度が導入され、チャーター・スクールが31校にまで増えた。4,700人の教職員は解雇され、若手教員のなかには前より安い給与でチャーター・スクールに職を得たものもいたが、ほとんどの教師は職を失った。
 公立学校の教師達は、フリードマンの改革を「教育現場の強奪」と呼んではばからなかった。
 ※教育バウチャー制度
 子供の数に応じて、バウチャー(金券)が交付される。子供達は自由に学校を選び、学校は集まったバウチャーの数に応じて行政から学校運営費を受け取る。

 ※チャーター・スクール
 州政府とチャーター(特許契約書)を交わし、保護者、教師、地域等が公費で自主運営する公立学校。
 〔3〕

 上記は、新自由主義の凄まじさの一例だが、今、フリードマン流の「新自由主義」を凌駕する、「デジタル独裁」という「専制」が牙をむいている。


 参考書籍等
 〔1〕2020.9.7 産経新聞大阪・夕刊 「2024年から米新時代 次期政権は移行期」
 -----京大大学院法学研究科教授 中西寛 /聞き手 坂本英彰
 〔2〕2020.9.12 産経新聞東京・朝刊 「感染症と経済 繰り返す歴史」-----経済本部長 船津寛
 〔3〕ショック・ドクトリン(上) ナオミ・クライン著 幾島幸子・村上由見子訳
 ㈱岩波書店 2011.10.26発行 



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