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サイレント・インベージョン(目に見えぬ侵略)

「ひれ伏す」か「抵抗する」か

 イギリスからチャイナに香港の主権が返還されて23年になる7月1日、チャイナは「香港国家安全維持法」を可決し、香港は歴史的な岐路に立たされた。

 7月1日産経新聞朝刊一面は、黒べた白抜きの「23年前の7月1日に始まった一国二制度の香港は死に、6月30日に香港は暗黒時代に入った」という、藤本欣也氏の衝撃的な記事が巻頭を飾っていた。

 スパイ天国の日本では、「お達者クラブ」ともいわれる経団連がチャイナに執心し、媚中、親中議員が国政を壟断している。チャイナによるウィグル、チベット及び法輪功対する人権侵害、並びに臓器狩りや香港国家安全維持法制定の暴挙について、「野党」及び「媚中・親中連」の声が聞こえてこない。

 「野党」及び「媚中・親中連」は、チャイナのサイレント・インベージョンのカウンターパートかもしれない。Wウィルスの世界的な拡散や、アメリカの暴動の背景についても、偶発的な事象であると決めつけていいのだろうか。そうではない可能性も考える必要がある。

 少し遡るが、6月19日にBBCがオーストラリアへのサイバー攻撃を報じていた。
 オーストラリアのスコット・モリソン首相は19日、同国の政府や公的機関などが、国家による高度なサイバー攻撃を受けていると明らかにした。
 モリソン氏によると、「政府全体」がサイバー攻撃を受けている。公共サービスを提供する機関や企業なども攻撃対象となっているという。個人情報に関する深刻な被害は出ていないとした。モリソン氏は、「規模と攻撃の性質、使われたスパイ技術から」、国家によるハッキングだと専門家が判断していると述べた。・・・
 ・・・サイバー情報活動の専門家らはしばらく前から、オーストラリアで起きたハッキングは中国と関連があるとしている。
 彼らは中国について、ロシア、イラン、北朝鮮などと共に、こうした攻撃を仕掛ける能力をもち、オーストラリアとは同盟関係にない数少ない国の1つだと説明している。
 
https://www.bbc.com/japanese/53103131

 なぜ、オーストラリアは、サイバー攻撃を受けたのだろうか。

 ニュージーランドのチャイナ・民族問題の専門家である杜建華氏によると、華僑の管理は僑務(きょうむ)としてシステム化されている。あらゆる階層の華僑の取り込みと協力、状況や構造的な状態がチャイナ共産党の望むものになるよう、インセンティブや抑制を通じて管理工作をしている。

 具体的には、華僑を通じてオーストラリア国民全体を親中にし、北京がコントロールし易いように変えていく。僑務の活動は、チャイナ共産党中央委員会に属する統一戦線工作部によって支配され、華僑を以下の三種類に区別している。
 ①華僑:海外在住のチャイナの国民
 ②外籍華僑:外国の市民権を持つチャイナ系の人々
 ③華裔:チャイナ系の子孫
 チャイナ共産党はそれぞれに、「チャイニーズらしさ」や民族への帰属意識を強化しようとする。しかし、これらの僑務工作は深く秘密に包まれているという。

 思想教育の成果もあって、最近の若者たちは「祖国」への愛国心や結びつきが強い場合が多い。自分たちを「母国から切り離された少数派」ではなく、「別の国にいるチャイニーズの一人」だと感じているのである。
 彼らはチャイナ共産党の国際的な目標を実現する人材であり、彼らがビジネスや科学、テクノロジー等において優秀であればさらに都合がいい。

 チャイナ経済を自由主義国の経済と同一視してはいけない。チャイナ経済は「党と企業の複合企業体(コングロマリット)」であり、党は会社のマネジメントまで介入する。

 2002年8月、オーストラリアのコンソーシアム(共同事業体)が広州省の天然ガス供給契約(250憶ドル)を確定させた時、金メダル級のパフォーマンスであり、チャイナと密接な関係を築いた成果だと喧伝された。
 しかし、チャイナのシドニー領事館の陳用林氏によれば、北京側は最安を提示したインドネシアに契約を与えるつもりだったが、共産党中央委員会がオーストラリアに与えてやれと命じてきたという。
 当時オーストラリアはアメリカに同調していたため、チャイナに振り向かせるため経済的手段を使うべきだと考えていたようだという。さっそく、ハワード首相は、250憶ドルの人参につられて、ダライ・ラマ14世との会談を拒否した。

 このような豪中間の経済関係で成長した財界人が、オーストラリアの主権を内側から浸食している。彼らが電話を入れれば、オーストラリアの首相や財務大臣が受けるような人達が多く含まれる。

 2005年になって、シドニー領事館から亡命した前出の陳用林氏は、「1,000人以上のチャイナ秘密工作員と情報提供者のネットワーク」がオーストラリアに存在し、活動していると主張した。
 チャイナの工作員は、人間の四つの不徳である、「情欲、復讐欲、名声欲及び強欲」を利用することで知られている。なんとも、凄まじいものである。

 オーストラリアの経済エリート達には、「チャイナの台頭は誰も留めることは出来ないし、われわれの経済の運命は北京の手に握られており、チャイナの規模を考えれば彼らがアジアを支配すべきだ」という考え方が浸透している。
 オーストラリアが目覚めて少しでも抵抗を始めたら、前記のようなサイバー攻撃が襲ってくる。

 チャイナのプロパガンダ部門のトップ・李長春氏は、孔子学院は「中国が海外でプロパガンダを展開するための一つの組織である」と述べている。
 日本の孔子学院は、アメリカのようにFBIまで動いて契約を打ち切るよう催促されることもなく、寧ろ「友好のシンボル」のようになっている。日本には「中医薬孔子学院」まであり、日本の中医薬関連孔子学院は、イギリス、オーストラリアに次ぐ三番目の栄誉を担っている。

 既に北海道はチャイナの植民地化が進み、釧路、苫小牧、札幌の惨状は目に余り、「すすきの」はチャイナのヤクザが支配している。これを、北海道庁と北海道の財界は投資歓迎といって受け入れているのである。
 チャイナの留学生には返済無用の奨学金が供与され、日本人の学生は高い授業料を負担する。留学生だけでなく、日本は労働力も不足しているので、移民をもっと増やすべきだという。
 ダグラス・マレー氏が「西洋の自死」のなかで、移民について「
この国はまるで自分自身を火葬する薪をあくせく積み上げているかのようだ」と警鐘を鳴らしたことが、日本で今起きている。

 オーストラリアへのサイバー攻撃は脅しであろう。ひれ伏すか、抵抗するのか、やがて、日本もその選択をする時が来る。対応は、早ければ早いほど戦略を立て易い。

 「尖閣はチャイナ固有の領土」と勝手に主張している相手に、いくら「遺憾砲」を撃っても引くわけがなかろう。大っぴらにサイバー戦争を仕掛けてくる国に、朝貢貿易でもするような態度の政治家に何ができるか、考えるまでもなかろう。防衛という国家の根幹を否定してチャイナに屈するわけにいくまい。幸い、「官邸メール」という手段がある。一千万の国民の声を、今こそ届ける秋ではないか。


  参考書籍等
  〔1〕ダグラス・マレー著 町田敦夫訳「西洋の自死」東洋経済新報社 2018.2.1発行
  〔2〕クライブ・ハミルトン著 山岡鉄秀監訳、奥山真司訳「Silent invasion」飛鳥新社 2020.6.17発行
  〔3〕宮崎正弘著「さよなら習近平」ビジネス社 2020.4.1発行



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