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ゾルゲ・尾崎事件

敗戦革命を画策した尾崎秀實(ほつみ)

 東西冷戦による軽武装・経済発展という偶然が、「平和ボケ」を量産した。彼等は謀略や諜報等に無頓着であり、メインストリーム・メディアに支配されたまま、「長幼の序」は昔日のことになってしまった。

 安倍総理が憲法改正を明言した平成29年5月3日以降、メインストリーム・メディアによる「なんでもあり」の倒閣運動のすさまじさに辟易している昨今である。とはいえ、憲法改正発言に呼応するかのような、「カケイ」・「モリトモ」騒動は、「ゾルゲ・尾崎事件」によって、350万の同胞と領土を失った過去があるだけに、プロパガンダは常に意識すべきことではないだろうか。

 リヒャルト・ゾルゲ(最終地位はソヴィエト赤軍第四本部情報将校)は「ソ連邦英雄勲章」が授与された英雄である。ソ連大使が日本に赴任した際には、多磨霊園にあるゾルゲの墓参が慣行となっていて、現在も続いているのだ。
 ソ連はゾルゲからの「日本南進確定」の情報によって、二面戦争が回避され極東の兵力を対独戦に振り向け、独ソ戦の勝利を手中に収めたのである。
 諜報史に残る「謀略の成功」によって、日本は想定もしていなかった日米戦争に巻き込まれた。

 「モリカケ騒動」に現を抜かして、危機を目前に同じような過ちを繰り返してはならない。「全体主義」が日本を敗戦に導いたという、左翼と右翼を混同した「軍国主義悪玉論」のプロパガンダが巷間伝えられ、自国の防衛すら否定することが公然と喧伝されている。何故、尾崎の謀略が成功したか考えなければならない。

 英領植民地のインド、ビルマ、マレー及びオーストラリア、仏領植民地のインドシナ、蘭領植民地のスマトラ、ボルネオ及びジャワ、米領植民地のフィリピン、独領植民地のビスマルク諸島、そしてアフリカは殆ど分割され、南北アメリカの原住民国家は消滅して、彼等は奴隷となった。
 列強の植民地の惨状が、日本のエリートを掻きたて、そこを尾崎秀實が利用した。

 江崎道朗氏による「コミンテルンの謀略と日本の敗戦」・PHP新書は、左右の全体主義グループと、保守自由主義の小田村寅二郎グループの三つが明確に区分され、時代背景を適格に捉えているので分かり易い。
 明治以後の日本は、「庶民の日本」と「エリートの日本」があり、それぞれ断絶している。そして、「エリートの日本」が上記のとおり三つのグループに分かれている。このことを前提に、世界史的な視点で戦前の歴史を見ていかないといけない。是非読んでいただきたいものだ。

 尚、日米戦争の遠因は、第一次大戦後のベルサイユ体制まで遡らなければならない。また、ルーズヴェルト(FDR)大統領の欠格を糾弾する歴史修正主義が、最近アメリカでも台頭してきている。寧ろ、こちらのほうが日米戦争の原因としては重要だけれども、日本国内の共産主義者によるプロパガンダとの直接の関わりはない。

 以下は、三田村武夫氏の著書「戦争と共産主義」の復刊本の紹介である。三田村氏は内務省警保局勤務後、国会議員、結社等臨時取締法違反の逮捕歴を経て、戦後も国会議員という経歴のとおり、一般人が知りえない立場で先の戦争を見てきた歴史の証人である。
 復刊本のタイトルが、「戦争と共産主義」から、「大東亜戦争とスターリンの謀略」に変わっていることが戦後の世相を現わしている。

 以下は、読後感想の引用を中心に纏めている。「葬られた歴史資料」のエッセンスだけでもお伝えできれば幸いである。
 尾崎秀實は近衛文麿のブレーントラスト「昭和研究会」のメンバーであり、近衛の側近であり、そして政策の提言者であった。当然、極秘情報に容易く接することができる。



 
復刊に際して
 
私はかねがね、大東亜戦争の真の原因について、疑問を持っていた。かつて、「コミンテルン・ドキュメント」という膨大な単行本と「リヒャルト・ゾルゲ獄中手記」を出版した際、国際共産主義運動史の文献を随分調べたが、ゾルゲ・尾崎事件の真相及びその背景は仲々解明できなかった。

 また、日本陸軍が、その主力を関東軍に注入し、多年にわたって対ソ戦を想定して、日夜、猛訓練を重ねて来たにもかかわらず、何故、突如として対米戦―大東亜戦争に踏み切ったのか、その理由が今日まで解せなかった。

 ところが、最近、或る学者たちの会合の席で、偶然、この疑問に対するヒントを与えられ、血眼になって捜し、発見したのがこの本である。
 本書は、昭和25年、「戦争と共産主義」という題名で初刷りが販売されたが、当時は占領中であり、GHQ(占領軍最高司令部)民生局ではアメリカの共産主義者が主導権を握っており、同局の検閲官によって、この本は発売禁止になってしまったと聞いている。
 中略
 この真実が広く世界に知られることによって、自由のために貢献できるならば、これに勝る幸せはないと思う。

  遠山景久
 〔1〕321~322頁一部抜粋

 
 知友のラジオ日本社長、遠山景久君が、某日、「岸先生、大変な本を見付けました。是非、第一読下さい」と持参されたのが、この三田村武夫氏の著書であった。読む程に、私は思わず、ウーンと唸ること屢屢であった。

 支那事変を長期化させ、日支の平和の目をつぶし、日本をして対ソ戦略から、対米英仏蘭の南進戦略に転換させて、遂に大東亜戦争を引き起こさせた張本人は、ソ連のスターリンが指導するコミンテルンであり、日本国内で巧妙にこれを誘導したのが、共産主義者、尾崎秀實であった、ということが、実に赤羅々に描写されているではないか。

 私は東京裁判でA級戦犯として戦争責任を追及されたが、今、思うに、東京裁判の被告席に座るべき真の戦争犯罪人は、スターリンでなければならない。然るに、このスターリンの部下が、東京裁判の検事となり、判事をつとめたのだから、まことに茶番というほかない。

 この本を読めば、共産主義が如何に右翼・軍部を自家薬籠中のものにしたかがよくわかる。何故それが出来たのか、誰しも疑問に思うところであろう。然し、考えてみれば、本来この両者(右翼と左翼)は、ともに全体主義であり、一党独裁・計画経済を基本としている点では同類である。

 当時、戦争遂行のために軍部が取った政治は、まさに一党独裁(翼賛政治)、計画経済(国家総動員法→生産統制と配給制)であり、驚くべき程、今日のソ連体制と類似している。ここに、先述の疑問を説く鍵があるように思われる。
 このショッキングな本が、もっともっと多くの人々に読まれることを心から望む次第である。

  岸信介(東条内閣で商工大臣、戦後の傑出した首相と言われている)
 〔1〕319~320頁


 
三田村武夫氏の「戦争と共産主義」という本は、著者の警保局そのほかの閲歴から普通には知られなかった豊富な資料によって、あの歴史に踊った人々の行動は自作自演ではなかった、すべては自ら知らず知らずして陰の演出の筋書によっていたのだ、と説明してある。
 奇矯のようだけども、読んでいて、すくなくともこれがかなり大きな部分的真理であったことは説得される。

 〔2〕84~85頁 

 この本のことは、「歴史の書き換えがはじまった!」〔3〕でも取り上げられ、竹山道雄氏が「昭和の精神史」を執筆時この本を参照していること、昭和25年に発禁処分になって以降、昭和62年1月に自由選書として刊行されが、長く品切れだったことなどの経緯について触れ、この書物の誕生のいきさつとか、品切れ後の遭遇というようなことについて何の説明もなされていないこと等を指摘している。

 同時に、現代日本の言論界、報道界における情報処理能力、つまりインテリジェンス・リテラシーが如何に脆弱であるかということを物語る一つの現象であろう、といっている。
 〔3〕14~15頁参照

 
三田村君の「戦争と共産主義」を読んで驚異の目を見張らない日本人はどこにあらう。
われわれは今、太平洋戦争に敗れて以来惨めな五年間を経験した。日本の歴史は日本がこれ迄に戦いに敗れた記録を有たなかった。太平洋戦争が初めてである。
 中略
 三田村君の著書を読んで多くの日本人は再び驚きを新たにするであろう。この無謀な戦争を起こした軍人の背後には彼らを操っていたものがあることを暴露しているからだ。
 それは外でもない。尾崎秀實やゾルゲなど共産党員たることが暴露して処刑に処せられた連中である。かれらの行動は世界をソヴィエトの支配下に置かんとする共産党の方針に従って行動したものである。その内情を知ってか知らずしてか、かれらと同種類の行動をしたものは今尚日本に活動している。
 三田村君は此書に於いて驚天動地の警鐘を鳴らしている。われわれは一度この警鐘に耳を傾ける必要がある。

  読売新聞社長  馬場恒吾
 〔1〕311~312頁一部抜粋 

 
彼(尾崎秀實)の死後出版された「愛情は降る星の如く」という少女雑誌の随筆の題目のような彼の遺文集が、あまりに評判が高く、左翼の文筆陣は彼を殉教者のようにまつり上げたので、一冊買って見たが、私には三分の一も読めなかった。
 書いてあることは彼の一面ではあろうが、他の半面を知り、彼の人物を知っていると、本気になって読む気になれなかった。「目的のために手段を択ばず」という共産党の根本思想を実行して、祖国を戦争から戦争へと駆り立てた揚句、陰謀が暴露して獄に入れられ、もう逃れられないと観念して、しおしおとして殊勝なことを書き綴ったものがあの書ではないか。
 中略
 現在の日本には第二、第三の尾崎がうようよしているように思われる。また、第二、第三の尾崎に駆使されている学者や新聞記者も少なくないようだ。
 三田村君の精励克苦な研究と鋭利な史眼で、この書の結論―現在の日共党員の活動とその最終目標―を書くことを奨めたい

 リーダーズ・ダイジェスト・日本支社長 鈴木文史朗
 〔1〕316~317頁一部抜粋

 参考資料「近衛上奏文」
 
抑々満州事変、支那事変を起し、之を拡大して遂に大東亜戦争にまで導き来れるは是等軍部内の意識的計画なりしこと今や明瞭なりと存候。
 満州事変当時、彼等が事変の目的は国内革新ありと公言せるは、有名な事実に御座候。

 支那事変当時も「事変永びくがよろしく事変解決せば国内革新が出来なくなる」と公言せしは此の一味の中心的人物に御座候。
 是等軍部内一味の革新論の狙ひは必ずしも共産革命に非ずとするも、これを取巻く一部官僚及民間有志(之を右翼といふも可、左翼といふも可なり所謂右翼は国体の衣も着たる共産主義者なり)は意識的に共産革命にまで引きずらんとする意図を包蔵し居り、無智単純なる軍人之に踊らされたりと見て大過なしと存候。

 此事は過去十年間軍部、官僚、右翼、左翼の多方面に亘り交友を有せし不肖が最近静かに反省して到達したる結論にして此結論の鏡にかけて過去十年間の動きを照らし見る時、そこに思ひ当る節々頗る多きを感ずる次第に御座候。
 「近衛上奏文」一部抜粋 全文は下記参照
  
http://askis.co.jp/aoyama/konoezyousoubun.html


参考書籍
〔1〕 三田村武夫著「大東亜戦争とスターリンの謀略」自由社 2009.2.25
〔2〕 竹山道雄著「昭和の精神史」中央公論社 2011.1.25
〔3〕 小堀桂一郎・中西輝政著 「歴史の書き換えが始まった!」㈱明成社
   2007.10.21



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