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税理士・社会保険労務士
青山税理士事務所
  

スイスの民間防衛

 
忘れられたリアリズム

 国民だまし続けてきた朝日新聞 非現実的な平和主義を謝罪とともに清算すべき
 元東京大学教授・酒井信彦氏
 
要するに、今の日本が直面しているのは、内外とも、戦後ずっと米国の絶対的庇護下で、惰性的に生き続けられてきた「空想的平和主義」が終焉(しゅうえん)を迎えているという現実である。
 http://www.sankei.com/affairs/news/161226/afr1612260020-n1.html

 上記のコラムを読んでいて、下記のコラムを思い出した。ネットとは便利なもので、1年前のコラムが容易く読める。

 「台風を放棄する」と憲法に書けば台風が来なくなるのか? 危惧抱く教養主義の衰退
 平川祐弘(東大名誉教授)
 http://www.sankei.com/column/news/151102/clm1511020001-n1.html
 「台風を放棄する」と憲法に書けば、台風は日本に来なくなりますか、と田中美知太郎は問うた。
 世間には「戦争を放棄する」と憲法9条に書いてあるから戦争がないような言辞を弄する者がいる。田中は戦争被害者で焼夷弾で焼かれた顔は恐ろしかったが、そう問うことで蒙を啓く発言には笑いと真実があった。
(中略)
 55年前、国会前は「安保反対」で荒れた。多くの名士はデモを支持した。だが大内兵衛、清水幾太郎など社会科学者の主張は傾向的だったものだから今では古びて読むにたえない。ところがギリシャ哲学者、田中の発言は古びない。
(中略)
 またドイツ語でマルクスを読んで有難がる社会科学者よりも、東独からの逃亡者と生きたドイツ語で会話する竹山道雄の判断の方を信用した。


 酒井信彦氏、平川祐弘氏、田中美和太郎及び竹山道雄に通底するのはリアリズムである。E・H・カーは理想主義をユートピアニズムといったが、戦後の日本を席巻していたのも理想主義だった。「台風を放棄する」と憲法に書けば、台風は日本に来なくなりますか、という諧謔がいわれるほどに理想主義に耽溺してきた。

 平成28年の世界は、理想主義からリアリズムへのパラダイム・チェンジが明らかなになった年だった。理想主義の欺瞞にうんざりして、ノーを突きつけたのがブレグジットであり、ポリティカル・コレクトネスに反発したのがアメリカの庶民だった。

 とはいえ、日本は世界的なパラダイムの転換に取り残されようとしている。周回遅れのグローバリズムを追い求め、相変わらず空想的平和主義に縋り、これを反日勢力が操るという構図のままである。かくて、朝日新聞は健在なのである。
 ドイツ語でマルクスを読んで有難がる社会科学者よりも、東独からの逃亡者と生きたドイツ語で会話する竹山道雄の判断の方を信用したという、平川祐弘氏のリアリズムは現在の日本にはない。

 手許に、「民間防衛」スイス政府編がある。中立を維持するには、国と国民が総力で当たらなければならないという「民間防衛」の処方箋が綴られている。「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼する」というお花畑と対極のリアリズムなのである。

 スイスでは、国防軍兵士には「軍人操典」、国民には「民間防衛」が渡され、「民間防衛」はすべての国民が手にしている本である。以下、「民間防衛」による。

 自由と独立を守るためには、民間の力と軍事力を一つにしなければならない。有事の際、軍は背後の国民の士気がぐらついては頑張れない。そのために軍に頼らず、国民も全て新しい任務に就くことが求められる。各自が戦争のショックを被ることを覚悟しなければならない。
 国家が侵略され、あるいは占領されることも予想し、レジスタンスを経て解放まで想定しなければならない。

 男子は必要とあらば軍服を着て前線に立ち、女性は食料を確保しあらゆる後方支援をする。徴兵義務のない男子と女性は民間防災組織を構成し、平時でも、戦時でも、占領下でも活動し続ける。

 「民間防衛」組織の一例
 一市町村の民間防災要員(人口10,000人の場合)
 国防軍要員  1,300名
 外国人900人を除く、7,800名のうち2/3は子供・老人等、1/3が民間防災要員になる。
 民間防災要員 2,600名
 内3/4が自警団に配属され、内1/4が地域防災組織に配属される。
 地域防災組織は、情報班・戦事消防班・工事班・保全班・衛生班・核兵器化学兵器対策班・被災者救護班とそれぞれ明確な役割が決まっており、平時・戦時を通じ活動する。

 日本の全く無防備な情報戦への対応と比べて、スイスはどうだろうか。
 
軍事作戦を開始するずっと前の平和な時代から、敵は、あらゆる手段を使ってわれわれの抵抗力を弱める努力をするであろう。敵の使う手段としては、陰険巧妙な宣伝でわれわれの心の中に疑惑を植えつける、われわれの分裂をはかる、彼らのイデオロギーでわれわれの心をとらえようとする、などがある。新聞、ラジオ、テレビは、われわれの強固な志操を崩すことができる。
 こうして、最も巧妙な宣伝が行われる。これにだまされてはならない。戦争の場合、われわれの生き残ることを保証するあらゆる処置をとろう。生き残るためのあらゆる手段をとろう。素朴な人道主義に身をまかせることは、あまりにも容易なことである、偽ものの寛容に身をあやまると、悲劇的な結末を招くであろう。敵の真の意図を見抜かねばならない。


 日本は国の防衛を僅か二十数万の自衛隊に丸投げし、しかも自衛隊をポジティブリストで縛り、一部の国民は平和ボケに侵されたままである。反日の宣伝機関と化したマスメディアは、「日本死ね」を流行語の候補にまで押し上げる。おそらく「民間防衛」意識の浸透したスイスであれば、日本のような異様なマスメディアは淘汰されていることだろう。

 
一方の国では平時から、戦時に備えて2年分の位の食料、燃料等必要物資を貯え、24時間以内に最新鋭の武器を具えた約50万の兵力が動員可能という体制で平和と民主主義を守り、他方の国では、軍事力を持つことは民主主義に反するというような議論が堂々となされているのは、まことに奇妙といわざるをえない。
 
訳者あとがきより。

 参考文献
  「民間防衛」スイス政府編/原書房編集部訳



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