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株式会社アスキス

平成27年3月 経済情勢概観

H27.3期 決算業務報告書資料

 3月30日発表の鉱工業指数(平成22年=100)は、生産、出荷がいずれも前月比3.4%のマイナス、在庫が0.5%のプラスでした。生産と出荷が減少し、生産>出荷のため在庫が増加したという芳しくない結果です。
 一方、日銀短観(H27/3月調査)・業況判断は次のとおりとなっています。

 業況判断
 
  大企業   資本金10億円以上
  中堅企業  資本金1億円以上10億円未満
  中小企業  資本金2千万円以上1億円未満

 業況判断DIは、「@-良い」、「A-さほど良くない」、「B-悪い」の三つの選択肢から一つを選択してもらい、@とBの構成比から導かれる景気判断指数です。
 例えばその結果が、@30%、A60%、B10%であれば、@−B=20%ポイントとなります。
 ただし、企業規模によるウェイト付けがないため、一社一票という単純な指数であることを念頭におかなければなりません。因みに短観は、需給・在庫・価格判断、売上・収益計画、経常利益等のDIがあります。
 少なくとも業況判断DIでは、大企業>中小企業という構図が明らかであり、今回の中小企業の結果は私たちの実感に近いものとなっています。
 では、もう少しにファンダメンタルズを見ていきましょう。

 G-1(H9年とH26年:対前年同期比の対比)
 
 G−1は、H9年の増税時と今回の増税時の実質GDP前年同期比(前期比ではありません)の対比です。H9年の消費税増税時は、H6年度からH8年度の所得税特別減税及びH7年度以降の所得税の制度減税という先行減税政策の結果、前年同期比の増加率が明らかに高くなっています。
 増税前のこの加速度の違いは、増税後如実に顕れ、4-6期の落ち込みが前回の1.5%に対し今回▲0.3%となり、7-9期においても前回のような反動増(1.5%⇒1.7%)もなく、▲1.4%とさらに大きく落ち込みました。10-12期(H26年)のグラフの上昇線も、マイナスが▲1.4から▲0.8に縮小した結果にすぎないのです。
 H26/4月の消費税増税の影響は、短観の業況判断の先行きに不透明感を与えています。

 G-2 (四半期ベースの実質賃金推移) 
 G−2は、左縦軸に実質賃金、右縦軸がGDPデフレーターの値です。GDPデフレーターを重ねると、相関する右肩下がりの推移から、未だ長期のデフレの最中であることが確認できます。

 G-3(エネルギー関連の価格下落による下方圧力分が含まれています) 
 
 G-3は消費者物価指数・総合です。日銀の量的緩和以降物価は順調に上昇していましたが、相も変わらずブレーキ役を務める「財政破綻論」が元に戻してしまいました。
 財政政策(公共工事等の需要創出=政府の牽引)と金融政策の二つの政策が有効に機能し、デフレ脱出の道筋が見えていただけに残念です。

 そもそも、インフレ目標とはインフレ政策(過度なインフレの抑止)なのですが、日本はデフレ対策として実行したのです。財政政策とセットにしたこともあり、国外から注目されました。
 インフレ目標はフレームワークですから、巷間いわれる「2年後のインフレ率を2%にする」というような硬直的な政策ではなく、一定期間(1〜2年)を通じて、目標の-1%から+1%の範囲内で物価を調整し景気を上向きに誘導する柔軟な金融政策(義務ではなく枠組み)です。インフレ率をある程度コントロールできれば、「実質金利」〔「名目金利」−「インフレ率」〕が下がり設備投資等も促進されるだろうというわけです。
 とはいえ、上記グラフの上昇線の誘因が、財政政策と金融政策のパッケージがあったことを帰納的に顧みれば、「金融政策だけでは成長力を回復できない」という結果が導かれることになります。強力な動機付け・巨大な力の牽引役(政府)があってこそ、初めて人々の期待感も芽生えてくるというものです。

 最後に、日銀短観の雇用人員判断についても触れておきます。雇用人員判断は、「@-過剰」から「B-不足」を控除した「@-B」ですから、マイナスは人手不足を意味します。

 雇用人員判断
 

 中小企業は前回▲19、今回▲20と人手不足感が依然として継続しています。大企業、中堅企業でも同じ状況にあり、久しぶりの雇用拡大の状況です。

 G-4 
 G-4は就業者数を単純にグラフ化したものです。H24/12月の政権交代をターニングポイントとして、V字の軌道を描いています。
 実質賃金の低下、派遣労働者の増加という個別の課題はありますが、少なくとも就業者数は改善され、しかも人手不足感が醸成されています。いい流れといえますが、気になることはそれを外国人労働者で補充することです。
 この難題は、人手不足の逼迫感が継続することで賃金も上がり更に就業者も増え、投資意欲も旺盛になるのですが、デフレの最中におけるコスト削減という企業経営的視点と、経済厚生の最大化及び安全保障とは二律背反であり、しかもトレードオフということなのです。
 外国人労働者問題は今後のとても大切なヴィジョンになるでしょう。